大阪府公安委員会 第62260032号相談無料・秘密厳守 監修と運営
探偵の相談室Soudan Room 相談する
用語と法律

恋人が投資に誘ってきたら、それがロマンス投資詐欺のサイン|儲け話に誘導する交際相手の見分け方と、お金を渡す前にできること

読了目安 約23分実務は主任調査員監修/法律部分は弁護士監修公開 2026.08.22

「彼は詐欺じゃないと思うんです。ただ、投資の話だけが、引っかかって」

相談室の椅子に座って、その人はまず、そう言いました。スマホの画面を、こちらに見せながら。

映っていたのは、見慣れない取引アプリのチャートでした。緑と赤の細かい棒が並んで、右肩上がりの線が伸びている。数字の横に、じわじわ増えていく残高。「彼が教えてくれた口座なんです。最初に五万円入れたら、二週間で八万円になって。ちゃんと引き出せたんです。だから、嘘じゃないと思って」——そこまで言って、その人は少しだけ黙りました。

「でも昨日、まとまった額を入れないかって言われて。それで、なんだか、急に怖くなって」

私はうなずいて、まず一つだけ確かめました。「その彼とは、直接、会ったことはありますか」。返ってきたのは、「いえ、まだ。忙しい人で、出張が多くて」という答えでした。会っていない。顔は写真だけ。それでも三か月、毎日連絡をくれて、優しくて、将来の話もしてくれた。そういう相手が、あるとき投資の話を始めた。

私は相談員の川瀬といいます。この相談室で、人の所在や身元にまつわる話を、たくさん聞いてきました。そのなかで、いちばん胸が痛むのが、この手の相談です。相手を憎んで来る人ではない。まだ好きなまま、迷いながら、それでも「投資の話だけがどうしても引っかかる」と言って、椅子に座る。そして多くの場合、その引っかかりのほうが、正しい。

先に、結論から言います。交際相手やマッチングで知り合った相手が、あなたを「投資」や「儲け話」に誘ってきたら——それ自体が、ロマンス投資詐欺の、もっともわかりやすいサインです。恋愛感情を先に育てて、信頼が固まったところで、お金の増える話に振る。これは、たまたまではありません。台本の、決められた一手です。

この記事は、まだお金を渡していない、あるいは渡し始めたばかりのあなたへ向けて書きます。すでに大きく渡してしまって「取り戻したい」段階にいるなら、そちらは別の記事に、事後の回復に絞ってまとめてあります。あわせて、身元を偽られてお金を奪われた結婚詐欺の話も。→ ロマンス詐欺の被害に遭った / 結婚詐欺の相手を特定したい

まだ渡していないなら、いまが分かれ道です。踏みとどまるための材料を、順番に、正直に置いていきます。

なぜ「投資に誘う」という一点が、最大のサインなのか

恋愛の相手が投資をすすめてくる。世の中には、本当に善意でそうする人もいる——そう思いたい気持ちは、わかります。だから、まず線を引きます。

問題は「投資をすすめること」そのものではありません。問題は、その順番です。

ふつうの人間関係で、お金の増える話が出るとしたら、それは信頼が積み重なった、ずっと先のことです。ところがロマンス投資詐欺では、順番が逆に設計されています。最初に「愛」と「将来」を仕込み、信頼が固まった一点を狙って、投資の話を差し込む。恋愛が先で、投資が後。この順序こそが、手口の正体です。

なぜ、この順番なのか。狙いは、はっきりしています。

人は、好きになった相手のすすめを、疑いにくい。「この人が、私を騙すはずがない」——その気持ちが、判断の壁を溶かします。もし見知らぬ他人が「絶対に儲かる投資がある」と言ってきたら、あなたは一瞬で警戒する。でも、三か月毎日連絡をくれて、優しくて、二人の未来を語ってくれた相手が同じことを言えば、警戒は働かない。加害者は、うまい投資話を売っているのではありません。あなたの「疑えない気持ち」を、先に育てているのです。

だから、覚えておいてください。相手が好きであること、優しかったこと、それは「詐欺ではない証拠」には、まったくなりません。むしろ逆です。ロマンス投資詐欺は、優しくて、まめで、あなたを大切にしてくれる相手の顔をして、近づいてきます。優しさは、疑いを封じるための道具として、最初から計算に入っている。

あなたが「投資の話だけが引っかかる」と感じているなら、その違和感は、あなたのなかの冷静な部分が鳴らした、正しい警報です。恋に落ちた頭ではなく、あなたを守ろうとする本能のほうが、先に気づいている。

2024年、被害は約400億円——その中心が「投資に絡めた恋」だった

この手口を「自分だけが遭った珍しい話」だと思わないでください。数字が、そうではないと語っています。

2024年、マッチングアプリなどを入り口にした詐欺の被害額は、日本国内でおよそ400億円にのぼりました。前年のおよそ二倍です。そして、その膨れ上がりの中心にあったのが、まさに投資に絡めたロマンス投資詐欺でした。仮想通貨(暗号資産)、海外FX、よくわからない海外の取引所——そういった「お金が増える話」と恋愛を組み合わせる型が、被害額を一気に押し上げた。

なぜ、投資型が突出して被害を大きくするのか。理由は単純です。貢がせ型や渡航費型は、一回に引き出せる額に限りがある。けれど投資型には、上限がありません。「もっと入れれば、もっと増える」という理屈で、相手は際限なく追加を求められる。そして被害者自身が「これは投資だ、損したくないから追加する」と、自分の意思で深みに入っていく。ここが、投資型のいちばん恐ろしいところです。

さらに、いまはもう一段、条件が悪くなっています。生成AIの普及です。顔写真も、声も、ビデオ通話の映像すらも、作りものを本物らしく見せる技術が、誰の手にも届くようになりました。「写真がきれいな別人の顔」だけでなく、「短いビデオ通話に応じてくる」相手すら、信じきれない時代に入っています。数年前なら「ビデオ通話ができたから本物だ」と言えたかもしれない。いまは、それだけでは決め手になりません。

つまり、この手口はこれから消えるどころか、道具立てを新しくして、より見分けにくくなっていきます。だからこそ、テクニックで見破ろうとするより、「恋愛の相手が投資に誘ってきたら、まず疑う」という一本の軸を、先に持っておくことが効きます。手口は進化しても、この構造だけは変わらないからです。

信頼を作ってから投資に振る——手口は、こう流れる

相談を重ねていると、投資型の流れには、驚くほど共通した「段取り」があるのがわかります。あなたのケースがどこまで来ているかを測るために、順番に並べます。

第一段階——出会いと、急速な接近。 マッチングアプリ、SNSのDM、ときにはゲームや趣味のコミュニティ。入り口はさまざまですが、共通するのは「距離の詰め方が、やたらに速い」こと。すぐに連絡先を移したがり、朝晩まめにメッセージをくれ、「運命を感じる」「こんな気持ちは初めてだ」と、早い段階で強い言葉を使う。あなたを特別な存在だと、繰り返し伝えてくる。

第二段階——信頼と、将来の共有。 一〜三か月ほどかけて、関係を深めます。悩みを聞いてくれ、支えてくれ、「落ち着いたら一緒に暮らそう」「二人の将来を考えている」と、未来を共有する。ここであなたの心のなかに、「この人は、私の味方だ」という土台ができる。加害者にとって、この土台こそが本命です。まだ、お金の話は一切出ません。出さないことが、うまさです。

第三段階——投資の「さりげない」登場。 ある日、雑談のように出てきます。「実は、投資で少し資産を増やしていて」「叔父が金融の仕事をしていて、いい案件を教えてもらえる」「あなたにも、将来のために知っておいてほしくて」。自慢げには言わない。むしろ「あなたのためを思って」という顔で、そっと差し出す。押しつけないから、あなたは「無理にすすめてこないし、悪い話じゃなさそう」と感じてしまう。

第四段階——少額の「成功体験」。 すすめられた取引アプリに、まず少額を入れる。すると、本当に増える。しかも、引き出せる。この「一度、ちゃんと出金できた」という経験が、決定打になります。「嘘じゃなかった」「疑って悪かった」——あなたの警戒が、ここで完全に外れる。でも、この最初の出金こそ、いちばん高くついた撒き餌です。相手は、あなたが本気で大金を入れるために、わざと少額を返しています。

第五段階——増額と、出金の壁。 信じたあなたは、まとまった額を入れる。貯金を崩し、ときには借金までして。画面の数字は、順調に増えていく。ところが、いざ大きな額を引き出そうとした瞬間、話が変わる。「税金を先に払え」「保証金が必要だ」「アカウントが凍結されたので解除費用を」。出そうとすると、もっと払わされる。この「出金の壁」が現れたら、もう手口は最終段階です。画面の残高は、最初から出金させる気のない、ただの表示にすぎません。

——あなたのケースは、いま、どの段階にいますか。第三段階の「さりげない登場」なら、まだ間に合います。第四段階の「少額が増えて、引き出せた」まで来ているなら、次の増額の誘いこそが本番です。ここで踏みとどまれるかどうかに、すべてがかかっています。

これは「サインだ」と気づくための、具体的な型

好きな相手を疑うのは、つらい。だから、感情ではなく、当てはまるかどうかで判断できるように、具体的な型を並べます。これらに複数当てはまるなら、恋の顔をした投資詐欺の可能性が高い。冷静に、指を折って数えてみてください。

  • 直接、会ったことがない。 あるいは、会う約束が何度も流れる。「出張中」「海外赴任中」「船で航海中」など、会えない理由に、いつも説明がつく。
  • 顔は見せるが、対面は避ける。 写真は送ってくる。短いビデオ通話に応じることもある。けれど、実際に同じ場所で会うことだけは、なぜか実現しない。
  • 距離の詰め方が、不自然に速かった。 出会ってすぐ「運命」「特別」と言われ、早々に連絡先を別のアプリへ移された。
  • お金や投資の話が、恋愛の途中から出てきた。 最初はなかったのに、信頼が深まったあたりで「資産運用」「いい案件」「一緒に増やそう」が登場した。
  • すすめられたのが、聞いたことのない取引所やアプリだった。 有名な証券会社ではなく、相手だけが知っている「特別なルート」「限定の案件」。
  • 最初は少額で儲かり、ちゃんと出金できた。 そして「もっと入れれば、もっと増える」と、増額を促された。
  • 「二人の将来のため」「あなたのためを思って」と、愛と投資が結びついている。 純粋な投資の話ではなく、恋愛感情とセットで語られる。
  • 「絶対に儲かる」「元本は保証される」「今だけ」と、うまい話に、うますぎる条件がついている。
  • 急かされる。 「この案件は今日まで」「早くしないと枠が埋まる」。考える時間、誰かに相談する時間を、与えない。

とりわけ最初の一つ——直接会ったことがない相手が、お金の話をしてくる——これは、それ一つで強い警報です。会わないまま、恋愛感情だけが育ち、その先にお金の話がある。この組み合わせは、まっとうな関係では、めったに起きません。

一つ、はっきり言っておきます。「相手はいい人だから、当てはまっても違うはず」——その考え方こそが、狙われている急所です。加害者は「いい人」を演じるプロです。人柄で判断してはいけない。構造で判断してください。

「絶対儲かる」「二人の将来のため」——言葉に隠れた狙い

相手が使う言葉には、それぞれ、あなたを動かすための役割が割り振られています。よく出てくる決まり文句を、裏側から読み解きます。相手の口から同じ言葉が出たとき、その裏にある狙いが見えていれば、飲み込まれずにすみます。

「二人の将来のために、資産を増やそう」。 これは、投資という金銭の話を、恋愛の文脈にすり替える呪文です。あなたが投資判断として冷静に考えるのを防ぎ、「愛する人と一緒に未来を作る行為」だと錯覚させる。お金を出すことが、愛情表現になってしまう。ここに乗ると、断ることが「愛を疑うこと」に感じられて、断れなくなる。

「あなたにだけ、特別に教える」。 限定されると、人は価値を感じ、警戒を解きます。「みんなに配っている儲け話」なら疑うのに、「自分だけ」と言われると、ありがたく受け取ってしまう。この「特別」は、あなたを油断させるための演出です。

「絶対に儲かる」「元本は保証される」。 断言しておきます。まっとうな投資の世界に、「絶対」も「元本保証」も存在しません。リターンには必ずリスクが伴う。これは金融のもっとも基本的な原則です。「絶対」「保証」を口にした時点で、それは投資ではなく、詐欺の合図です。例外はありません。

「今だけ」「早くしないと枠が埋まる」。 急かしは、あなたから「考える時間」と「誰かに相談する時間」を奪うための手口です。冷静に調べられたら困る、家族や友人に相談されたら見破られる——だから急がせる。まっとうな話なら、あなたが調べ、相談するのを、相手は歓迎するはずです。急かす相手ほど、調べられて困る事情を抱えている。

「僕を信じられない?」「愛しているなら」。 これが出たら、決定的です。金銭の要求を、愛情の試験に変えている。信じるかどうかと、お金を出すかどうかは、まったく別の問題です。それを混ぜてくる相手は、あなたの誠実さを、そのまま武器として使っています。

言葉に飲まれそうになったら、一度だけ、置き換えてみてください。「愛しているなら投資して」を、「愛しているならお金を出して」に。裸にすると、正体が見えます。

お金を渡す前に、一度だけ踏みとどまる

ここが、この記事のいちばん大事なところです。まだ渡していないなら、渡す前に、一度だけ立ち止まってください。渡す前と渡した後では、あなたの立場がまるで違います。

なぜ、渡す前が決定的なのか。理由は残酷なほど単純です。恋愛感情につけこまれて渡したお金は、渡したあとでは、取り戻せないことが多いからです。とりわけ暗号資産で送ったもの、海外の口座に送ったものは、送られた瞬間にいくつもの口座やウォレットへ分散され、追うのが極めて難しくなる。「あとで取り返せばいい」は、この手口にはほとんど通用しません。だから、勝負は「渡す前」に、ほぼ決まっています。

踏みとどまるために、いますぐできることを、はっきり挙げます。

一つ、これ以上、一円も入れない。 とくに「出金するには先に税金を」「解除費用を払えば引き出せる」と言われているなら、それは追加をむしり取るための嘘です。出金の壁が現れた時点で、追加の入金は、傷を広げるだけです。もう入れない。

二つ、急かされても、その場で決めない。 「今日まで」「枠が埋まる」は、あなたを焦らせる演出です。まっとうな話なら、一週間待っても消えません。「少し考えたい」と言った瞬間の相手の反応が、答えを教えてくれます。急に不機嫌になったり、罪悪感を煽ってきたりするなら、それは、あなたに考えさせたくないという本音の表れです。

三つ、家族か友人か、公的な窓口に、必ず一度話す。 加害者がもっとも恐れているのは、あなたが第三者に相談することです。恋に落ちた頭は、相手の言い分しか見えなくなる。だからこそ、外の目を一つ入れる。恥ずかしくても、たった一人でいいから、この話を声に出してください。声に出した瞬間、自分でも「あれ、これはおかしい」と気づくことが、本当に多いのです。

四つ、消費生活センターや警察の相談窓口を使う。 お金のトラブル、詐欺かもしれないという相談は、公的な窓口が無料で受けています。消費者ホットラインは、局番なしの「188」(いやや)。警察の相談専用電話は、「#9110」。まだ被害が確定していなくても、「これは詐欺でしょうか」という段階で相談していい。むしろ、その段階の相談こそ、いちばん役に立ちます。

踏みとどまることは、負けではありません。「せっかくここまで入れたのに」という気持ち——それを、相手は狙っています。すでに払った分を惜しむ心理につけこんで、さらに払わせる。ここで止められる人が、被害を最小で終わらせる人です。止まれたことを、後で必ず、自分で誇っていい。

渡す前にできる、相手の「実在と身元」の確かめ方

「疑いたくないけど、確かめたい」。その気持ちに、正面から答えます。お金を渡す前に、相手が本当に実在し、名乗ったとおりの人物なのかを、あなた自身の手で確かめる方法があります。手口の細部までは書きませんが、方向性は示します。

まず、「対面」を提案してみる。 「一度、ちゃんと会いたい」。この、いたって自然な願いに、相手がどう反応するか。まっとうな相手なら、喜ぶか、少なくとも前向きに調整します。ロマンス投資詐欺の相手は、ここで必ず、会えない理由を持ち出します。出張、赴任、航海、家族の事情——理由が立派であるほど、そして何度も会う約束が流れるほど、疑いは濃くなります。会えない相手に、お金を渡してはいけない。この一線だけは、守ってください。

次に、送られてきた顔写真を、そのまま信じない。 ネット上の別人の写真を拾って使う「なりすまし」は、この手口の常套です。同じ画像がネットのどこかで使い回されていないかを確認する手立てはあります。生成AIで作られた顔の場合もあり、写真だけで安心するのは危険です。写真は、身元の証明にはなりません。

名乗った勤務先・肩書き・出身地に、裏が取れるか。 「国際機関の医師」「石油関連の実業家」「海外派遣中の軍人」——共通するのは、"遠くにいて会えない"ことに説明がつき、かつ、お金を持っていそうな設定であることです。名乗った会社や肩書きが、公開情報と食い違わないか。話すたびに設定が微妙にずれないか。作られた人物像は、細部で綻びます。

そして、いちばん現実的な確認材料——お金の「入り口」。 相手が指定してくる送金先、すすめてくる取引アプリの名前、口座の名義。ここには、相手が完全には隠しきれない情報が残ることがあります。とりわけ、国内の口座を経由させてくる場合、その口座名義は、海外の相手であっても国内側に残る貴重な手がかりになります。渡す前に、どこへ、誰の名義で送らせようとしているのかを、必ず記録しておいてください。

ここで正直に線を引きます。あなた自身でできる確認には、限界があります。写真の裏取り、勤務先の照合、名義の確認——ある程度は個人でもできますが、相手が用心深く痕跡を消してくる相手だと、素人の確認では届きません。「どうしても実在を確かめたい」「渡す前に、この人が本物か知りたい」という段階で、所在や身元の調査を専門にする者に相談する選択肢があります。何ができて何ができないのか、その全体像はこちらに。→ 所在調査とは?できること・できないこと

そして、探偵に頼めることには、はっきりした境界があります。突き止めた情報を使って、あなたが自分で相手を問い詰めたり、取り立てたりする手伝いは、まっとうな探偵は決してしません。頼めることと頼めないことは、こちらに具体例で。→ 探偵に頼めること・頼めないこと

それでも渡してしまったあとに——相談先を、正しい順で

「読んでいるうちに気づいた。もう、渡してしまった後だった」。そういう人も、いるはずです。落ち込む必要はありません。気づいたその瞬間が、いちばん早い。ここから、正しい順番で動きます。

一つ、これ以上は絶対に入れない。 すでに述べたとおり、「出金のために追加を」は、傷を広げるだけの嘘です。まず、資金の流出を止める。

二つ、送金先が国内の銀行口座なら、その日のうちに金融機関へ連絡する。 国内口座への振込であれば、「振り込め詐欺救済法」にもとづき、相手の口座が凍結され、残っていた分が被害回復として分配される可能性があります。ただし、相手の口座に資金が残っているうちでなければ、間に合いません。加害者はすぐ引き出します。気づいた瞬間に、動いてください。海外送金・暗号資産では、この制度は及びにくいのが現実です。

三つ、警察に相談する。 ロマンス投資詐欺は、刑法の詐欺罪にあたりうる犯罪です。緊急でなければ、警察相談専用電話「#9110」から。証拠と時系列を整えて相談するほど、動いてもらいやすくなります。

四つ、消費生活センターへ。 局番なしの「188」。契約や送金のトラブルとして、公的な助言を無料で受けられます。次にどこへ動けばいいかが、はっきりします。

五つ、弁護士に引き継ぐ。 返還請求や損害賠償へ進めるかどうかは、弁護士の守備範囲です。ただし、それには相手が「誰で、どこにいるか」が要る。ここで、相手の本名・所在を突き止める調査が効いてきます。飛んだ相手を正規の手続きに乗せるための土台づくりです。

そして、動く前に必ずやることが一つ。証拠を、消える前に、そのまま残す。この手口の証拠は、驚くほど早く消えます。相手があなたをブロックすれば履歴ごと見えなくなり、アカウントを消されればプロフィールも写真も消える。だから、問い詰めるより先に、まず保全です。

  • やり取りの全部(アプリ内・LINE・メール・SMS・通話履歴)。日付と相手の表示名がわかる形で、会話の流れごとスクリーンショットに。愛を語った言葉も、投資を促した言葉も、一つ残らず。
  • 相手のプロフィール・顔写真・送られてきた画像・ボイスメッセージ。
  • お金の記録が、いちばん重要。 振込明細、送金アプリの履歴、暗号資産の送金記録(送金先アドレス)、すすめられた取引アプリの名前と画面。送金先の口座名義は、身元特定の最大の糸口です。
  • 時系列のメモ。 いつ知り合い、いつ投資の話が出て、いつ何を理由にいくら入れたか。記憶が新しいうちに書き出す。

集めた証拠は、SNSで晒すためのものではありません。相手が詐欺師でも、確定していない段階で実名や顔写真を公開すれば、名誉毀損・プライバシー侵害として、被害者だったはずのあなたが加害者にされるリスクが生じます。証拠は、警察・弁護士・裁判所という正規のルートに「渡す」もの。この順番を守ることが、結局いちばん確実に、あなたを守ります。証拠の正しい扱い方は、こちらに。→ 探偵調査の証拠は「晒すな、渡せ」

「取り戻せます」と近づいてくる相手にも、気をつけて

もう一つ、警告しておきます。投資詐欺で損をした人は、もう一度、狙われます。

一度お金を失って、「取り戻せないかもしれない」と知ったところに、SNSのDMやメールで、こう近づいてくる相手がいる。「あなたの被害、取り戻せます」「返金の手続きを代行します」「送金先を追跡できる特別なルートがあります」。これが、回収詐欺(リカバリー詐欺)です。取り返せないと打ちひしがれた人の、藁にもすがる気持ちを、もう一度食いものにする。

見分ける目印は、はっきりしています。

  • 「必ず」「100%」「確実に取り戻せる」と断言する。 まっとうな専門家は、回収の可否を断言しません。断言した時点で、疑ってください。
  • 先に「着手金」「手数料」「保証金」を求めてくる。 取り戻す前に金を払わせるのは、回収詐欺の典型です。二度目の送金に、ならないように。
  • 向こうから、あなたを名指しで探し当てて連絡してくる。 被害者名簿が出回っている、と考えたほうがいい。

正規の窓口は、警察、弁護士、消費生活センター、そして相手の特定を担う届出済みの探偵だけです。向こうから都合よく現れる"救済者"は、疑ってかかってください。悪質な業者を見分ける具体的な目印は、こちらに。→ 悪質・無届の探偵業者を見分ける

よくある相談

Q. 彼は本当に優しいんです。投資の話以外は、何も怪しくない。それでも詐欺ですか?

優しさは、この手口の中心にある道具です。「投資の話以外は完璧」——それこそが、設計どおりの姿です。加害者は、あなたが疑わないように、投資以外のすべてを完璧に演じます。判断は、人柄でなく構造でしてください。会ったことがない/投資を促してくる/うまい話に急かしがついている。この構造が当てはまるなら、優しさは判断材料になりません。

Q. 最初に少額を入れたら、本当に儲かって、ちゃんと引き出せました。だから信じたんですが。

その「一度出金できた」経験こそ、いちばん高くついた撒き餌です。相手は、あなたが本気で大金を入れるために、わざと少額を返しています。少額が増えて引き出せたことは、まったく安全の証明になりません。むしろ、次の増額の誘いこそが本番だと考えてください。ここで止まれるかどうかが、分かれ道です。

Q. ビデオ通話にも応じてくれました。顔も声も本物でした。それでも疑うべき?

いまは、それだけでは決め手になりません。生成AIによって、顔や声、短いビデオ映像すら作りものを本物らしく見せる技術が広まっています。ビデオ通話ができたことは、以前ほどの安心材料にはなりません。決め手は、実際に同じ場所で会えるかどうか、そして投資を促してくるかどうかです。会えないまま投資に誘う相手は、通話ができても疑ってください。

Q. 「愛しているなら信じて投資して」と言われました。どう答えれば?

信じることと、お金を出すことは、別の問題です。それを混ぜてくる時点で、相手はあなたの誠実さを武器にしています。「愛しているならお金を出して」と裸にして聞けば、おかしさが見える。答えは一つ——「あなたを信じているけれど、お金の話は別で考えたい。一度、ちゃんと会って話そう」。この提案への反応が、相手の正体を教えてくれます。

Q. まだ渡していません。でも、断ったら関係が終わりそうで怖いです。

断って終わる関係なら、それは、お金でつながっていた関係です。まっとうに愛してくれる相手は、あなたが投資を断ったくらいで去りません。「断ったら終わる」という怖さ自体が、相手に握られている証拠です。失うのが怖いのは、あなたが誠実に愛したからです。その気持ちは正しい。ただ、その気持ちを利用されているだけです。

Q. 家族に相談したら「それは詐欺だ」と言われました。でも信じたい自分もいます。

外の目が「詐欺だ」と言うなら、その声を、まず信じてみてください。恋に落ちた頭は、相手の言い分しか見えなくなります。第三者の冷静な判断は、あなたが自分では見られなくなっている角度を、見てくれています。信じたい気持ちと、事実を確かめることは、両立します。まず事実を固めてから、気持ちの答えを出しても、遅くありません。

Q. 相手が本物か、渡す前に確かめられますか?

ある程度は、あなた自身でも確かめられます。会う提案への反応、写真の使い回しの有無、勤務先や肩書きの裏取り、送金先の名義の記録。ただ、相手が用心深く痕跡を消してくると、個人の確認では届きません。「どうしても実在を確かめたい」という段階で、所在・身元の調査を専門にする者に相談する道があります。渡してしまう前の相談が、いちばん意味を持ちます。

迷っているうちが、いちばん強い

相談室で、投資に誘われたと言って座る人の多くは、まだ、相手を憎んでいません。好きなまま、迷いながら、それでも「投資の話だけが引っかかる」と言って来ます。私は、その引っかかりを、いつも大切にします。恋に落ちた頭ではなく、あなたを守ろうとする部分が、先に気づいて鳴らしている警報だからです。

最後に、この記事で言いたかったことを、置いておきます。

  • 交際相手・マッチング相手が「投資」「儲け話」に誘ってきたら、それ自体がロマンス投資詐欺のサイン。優しさは疑いを封じる道具で、詐欺でない証拠にはならない
  • 手口は「恋愛が先、投資が後」の順番で設計されている。少額が儲かって引き出せたのは、大金を入れさせるための撒き餌
  • 「絶対」「元本保証」「二人の将来のため」「今だけ」「愛しているなら」——決まり文句には、あなたを動かす役割が割り振られている
  • 渡す前が、勝負。急かされてもその場で決めず、必ず第三者か公的窓口(消費者ホットライン188/警察相談#9110)に一度話す
  • 会えない相手に、お金を渡さない。渡す前に、実在と身元を確かめる。個人の確認に限界があれば、所在調査という選択肢がある
  • すでに渡してしまっても、気づいた瞬間がいちばん早い。証拠を残し、金融機関・警察・消費生活センター・弁護士へ、正しい順で

あなたが迷っているのは、誠実に人を愛せる人だからです。その力は、否定されるものではありません。ただ、まっすぐ愛せる人ほど、この台本に狙われる。だから、迷っているうちに、確かめる。それが、あなた自身を守る、いちばん確かな道です。

まずは、話を聞かせてください

「まだ、依頼するかどうかもわからない」——その段階で構いません。
決めてから相談するものではなく、決められないから相談していい場所です。

相談無料・秘密厳守/大阪府公安委員会 第62260032号

読んでも解決しないときは、聞いてください

急かしません。まず知ることが、いちばんの安心になります。それでも判断に迷うときは、無料で相談できます。

電話で相談0120-536-073 LINEで相談
大阪府公安委員会 第62260032号/秘密厳守