生き別れの兄弟姉妹を探す方法|幼い頃に離れたきょうだいに、もう一度会うために
- 血のつながったあの子は、今、どこで、どうしているだろう
- 「今さら」と、その願いにフタをしないでほしい
- あなたのケースは、どの生き別れか——事情ごとに、たどりやすさが変わる
- まず、当時の手がかりを棚卸しする——断片で、いい
- 戸籍でたどれる範囲と、そこにある壁
- 戸籍が壁にぶつかったら——親族という、もう一つのルート
- 自分でできることの限界——ここで立ち止まってほしい
- 専門の所在調査は、古い手がかりを"今の人"にどう結びつけるのか
- 時間が経つほど、道は細くなる——だから、思い立った今日が起点
- 見つかったあと——相手の生活と意思を、何より大切に
- 探す前の、心の準備——期待と、現実のあいだで
- この探し方が向かない場合——別の窓口が適しています
- 費用は、何で決まるのか
- よくある質問
- その願いは、誰かを困らせることではない
血のつながったあの子は、今、どこで、どうしているだろう
同じ家で育つはずだった。同じ食卓を囲み、同じ親に叱られ、けんかをして、また仲直りをして——本当なら、そうやって一緒に大きくなるはずだった。
けれど、あなたときょうだいは、途中で離れ離れになりました。両親が別れたとき、あなたは母に、あの子は父に引き取られた。施設や親戚のもとで、別々に暮らすことになった。あるいは、あの子は幼いうちに養子として、別の家庭にもらわれていった。理由は、あなたが選んだことではありません。まだ小さかったあなたには、どうすることもできなかった。大人たちの事情のなかで、いつのまにか、きょうだいとの糸が切れていた——多くの人が、そういう始まりを抱えています。
そして今、あなたはこう思っている。「あの子は、今、どこで、どうしているんだろう」。「一度でいい、会って話がしたい」。「せめて、元気にしているかだけでも知りたい」。ずっと胸の底に沈んでいたその願いが、あるとき急に、抑えきれないほどこみ上げてくる。この記事にたどり着いたということは、あなたのなかで、その願いが確かに生きているということです。
先に、いちばん大事なことをお伝えします。血のつながった兄弟姉妹を探すのは、赤の他人を探すのとは違います。あなたと相手は、同じ親を通じてつながっている。だから、他人を探すときにはない「正規の入り口」があり、そこから合法の範囲でていねいに積み上げていけば、所在にたどり着ける道があります。この記事では、当時の手がかりの整理から、戸籍でたどれる範囲とその壁、自分でできることとその限界、専門の所在調査でできること、そして——ここがいちばん大切です——見つかったあと、相手の生活と意思を尊重してどう会うか、そのための心の準備までを、あなたの味方の立場で、順番にまとめました。
なお、生き別れた「実の親」を探したい方、あるいは兄弟姉妹探しの戸籍まわりをもっと制度寄りに知りたい方は、あわせてこちらも読んでください。→ 生き別れた実の親を探す / 生き別れのきょうだいを探す(戸籍の入り口から)
「今さら」と、その願いにフタをしないでほしい
きょうだいを探そうとする人の多くが、探し始める前に、何度も自分に問いかけます。「こんなことを調べていいんだろうか」。「向こうには今の生活がある。突然たずねたら、迷惑になるんじゃないか」。「あの子は、自分のことなんて覚えていないかもしれない」。「今さら会って、どうするつもりなんだ」。
その迷いは、あなたが相手を思いやれる人だからこそ、生まれるものです。だから、否定しません。けれど、はっきり言わせてください。血を分けたきょうだいにもう一度つながりたいという願いに、「今さら」はありません。無事を確かめたい、一度会って話したい、自分にきょうだいがいるという事実をこの目で確かめたい、あのとき言えなかった気持ちを伝えたい——どれも、あなたの人生にとって、まっとうで、正しい願いです。世間の「今さら」という一言で、その願いをしまい込まないでください。
そして、後で詳しくお伝えしますが、しまい込んでいるあいだにも、手がかりは古くなり、当時を知る人は年を重ねていきます。願いを言葉にすることが、すべての出発点です。
あなたのケースは、どの生き別れか——事情ごとに、たどりやすさが変わる
ひとくちに「生き別れた兄弟姉妹」と言っても、離れた事情によって、残っている手がかりも、たどれる筋道も、ずいぶん違います。まず、あなたのケースが次のどれに近いかを見立てておくと、後の話がずっと具体的になります。
両親の離婚で、別々の親に引き取られた。 いちばん多いケースです。この場合、あなたと相手は、戸籍のうえでは実の兄弟姉妹のまま記録が残っていることが多く、両親の戸籍という入り口をたどりやすい類型です。手がかりは「別れた当時の親の住所」「引き取った側の親の名前」あたりが軸になります。
施設・里親のもとで、ばらばらに育った。 きょうだいがそれぞれ別の施設や里親家庭に預けられたケース。当時の記憶が幼く、断片的なことが多いぶん、施設の名前・地域・在籍していたおおよその時期が、貴重な手がかりになります。
腹違い・種違い(半血)のきょうだいがいると、あとから知った。 父が同じで母が違う、母が同じで父が違う。大人になってから、戸籍や親族の一言で「自分にはきょうだいがいた」と知るケース。共通する側の親の戸籍が、たどる入り口になります。
きょうだいのどちらかが、幼い頃に養子に出された。 あの子が養子に迎えられた、あるいはあなた自身が養子として育った。ここは、後で詳しく触れますが、「普通養子縁組」か「特別養子縁組」かで、戸籍のたどりやすさが大きく変わる、いちばん慎重に扱うべき類型です。
自分の事情が、この中のどれに近いか。決めつけず、「たぶんこれだろう」という見当をつけておくだけで十分です。そして——どの事情でも、最初にやるべきことは同じです。手がかりの棚卸しです。
まず、当時の手がかりを棚卸しする——断片で、いい
きょうだい探しの成否は、派手な調査技術よりも、まずあなたの記憶と手元に、どれだけ手がかりが残っているかで大きく決まります。幼い頃に別れた相手だと、「名前くらいしか覚えていない」という人も多いはずです。それでも大丈夫。完璧である必要はありません。断片を、静かに書き出すところから始めてください。
- きょうだいの名前。 下の名前だけ、あだ名や通称だけでも構いません。姉や妹なら、結婚して姓が変わっている可能性を、最初から頭に入れておく。漢字が曖昧なら、読みだけでも書いておく。
- 生年・年齢・上下の順。 正確でなくてもいい。「自分の二つ上だった」「たしか同じ小学校に少しだけ通った」——その程度で、十分に効きます。
- 別れた当時、どこに住んでいたか。 番地まで分からなくても、「あの町」「あの駅の近く」「◯◯県だった」でいい。当時の生活圏の見当は、大きな手がかりです。
- 引き取った側の親・親族の名前。 どちらの親についていったか。祖父母や叔父叔母など、引き取り先の親族の名前や住んでいた土地。ここは、後でとても効いてきます。
- 施設・里親の名前や地域(あてはまる場合)。当時いた施設の名前、地域、おおよその時期。
- 当時の写真・書類。 幼い頃に一緒に写った一枚。裏に名前や日付が書かれていることもあります。古いアルバム、手紙、年賀状、親族が残した書類の中に、断片が眠っていることがあります。
- 親や親族から聞いた話。 別れることになった経緯、当時の噂、その後どうなったらしいという話。話しづらい相手なら、無理をしなくて構いません。
書き出してみると、「思っていたより覚えている」と気づく人もいれば、「本当に名前しかない」と落ち込む人もいます。どちらでも大丈夫です。手がかりが少なくても道はありますし、多ければそのぶん早い。頭に入れておいてほしいのは、手がかりは、多いほど、そして新しいほど、再会に近づくという原則だけです。手がかりの棚卸しは、人探し全般に共通する最初の一歩でもあります。→ 会いたい人の探し方(手がかりの棚卸しから)
戸籍でたどれる範囲と、そこにある壁
きょうだい探しが、赤の他人を探すのと決定的に違うのは、あなた自身が、正規の手続きで取り寄せられる記録があるという一点です。ここが「正規の入り口」の中身です。
実の兄弟姉妹なら、生まれたときには同じ親の戸籍に一緒に載っていたことがほとんどです。その後、両親の離婚や、それぞれの結婚、養子縁組などで、別々の戸籍に分かれていく。けれど、「もとは同じ戸籍にいた」という事実は、記録の上にたどれる形で残っていることが多い。あなた自身の戸籍から、一つ前、また一つ前へと記録(改製原戸籍・除籍など)をさかのぼっていくと、幼い頃に一緒に載っていたきょうだいの名前、生年、当時の本籍地にたどり着ける可能性があります。これは、探偵に頼まなくても、あなた自身の権利として進められる、まっとうな第一歩です。「下の名前すらうろ覚え」から「名前と生年と当時の場所が分かった」に変わるだけで、その先の道のりはまるで違ってきます。
ただし、戸籍には、はっきりとした壁もあります。ここは、あなた自身を守るためにも、正直にお伝えします。
壁の一つめ。戸籍は「名前と、昔の場所」までしか教えてくれない。 戸籍からきょうだいの名前と当時の本籍地が分かっても、その人が「今どこに住んでいるか」までは、そこからは分かりません。多くの人が、ここでぶつかります。戸籍は過去の記録であって、現住所の名簿ではないのです。
壁の二つめ。成人して分かれた戸籍は、たどれる範囲に限りがある。 きょうだいが結婚などで新しい戸籍をつくって独立していると、そのままではあなたの側からたどれる範囲に限界が出てくることがあります。姉や妹が結婚して姓が変わっている場合、名前だけでは追いにくくなります。
壁の三つめ。養子縁組の種類で、たどりやすさが変わる。 きょうだいのどちらかが養子に出ている場合、「普通養子縁組」であれば、実の親の記載が戸籍上に残る形が一般的で、たどれる手がかりが残っていることがあります。一方、「特別養子縁組」のように、育ての親との結びつきをより強くする制度では、戸籍の記載のされ方やたどり方が異なり、実の家族の側からたどるのが難しくなることがあります。
ここで、絶対に踏み外してはいけない一線があります。他人の戸籍や住民票を、正当な理由なく取得することはできません。それを裏ルートで手に入れる、といったやり方は違法です。焦って、誰かに「戸籍を取ってやる」と持ちかけられても、乗ってはいけません。善意で始めた探しが、あなた自身を危うくします。そして、戸籍の請求の仕方やたどれる範囲、養子縁組がからむ場合の扱いといった法律にかかわる判断は、市区町村の戸籍の窓口や、戸籍にくわしい弁護士・司法書士に確認するのが、いちばん確かです。この記事は道すじの地図であって、法律相談の代わりにはなりません。
戸籍が壁にぶつかったら——親族という、もう一つのルート
戸籍でたどれるのが「名前と昔の場所」まで、と分かると、そこで手が止まってしまう人が多い。でも、生き別れのきょうだい探しには、戸籍と並ぶ、もう一つの大切なルートがあります。親族のネットワークです。
幼い頃にきょうだいが引き取られていったとき、その先には、たいてい「引き取った側の親」や、その周りの親族がいます。祖父母、叔父叔母、いとこ。当時のことを知っている親族が、まだどこかで暮らしている。相手が今どうしているかを、風の噂で知っている人がいる。あなたと相手の両方を、記憶の中でつないでいる人がいる——。この人たちの存在は、名前を入れたら答えが出るデータベースにはない、生きた手がかりです。
だからこそ、可能なら、あなたの側の親や親戚に、当時の事情をそっと尋ねてみてください。「あの子は、あのあとどこに引き取られたの」「引き取った側の親族に、連絡を取れる人はいる?」——。ただ、これは家族の古い傷にふれる、とてもデリケートな話でもあります。無理に問い詰めるのではなく、あなたの気持ちを正直に伝えたうえで、相手が話せる範囲で伺うのがいい。話したがらない相手もいます。それでも、断片が一つ出てくるだけで、道がぐっと近くなることがあります。
自分でできることの限界——ここで立ち止まってほしい
戸籍をたどり、親族に尋ね、古い写真を見返す。ここまでは、あなた自身の手で、無理なく進められる範囲です。うまくいけば、そこで手がかりがつながることもあります。だから、まず自分でやってみることを、否定はしません。
けれど、多くの場合、自分でできる範囲は、どこかで行き止まります。理由ははっきりしています。戸籍は「今の住所」を教えてくれない。きょうだいは何十年ものあいだに引っ越しを重ね、当時の生活圏から遠く離れている。姉や妹は結婚で姓が変わっている。当時を知る親族は、もう連絡が取れないか、亡くなっている。手がかりが「当時のまま」で止まっていて、"今"につながらない——これが、個人でのきょうだい探しが行き詰まる、いちばん多いパターンです。
そしてもう一つ。行き詰まったときに、相手の今の居場所を知りたい一心で、他人の情報を不正な方法で得ようとするのは、絶対にやめてください。たとえ善意でも、あなた自身が問題を抱えることになります。焦って踏み込みすぎる前に、立ち止まる。「自分でたどれるところまでは自分の手で、行き詰まったら専門家に相談する」——これが、いちばん安全で、現実的な進め方です。戸籍で名前と昔の場所までは分かったけれど、そこから今の所在につながらない。そう感じたときが、相談のタイミングです。探偵に何ができて何ができないか、その線引きはこちらに整理しています。→ 探偵にできること・できないこと / 個人情報と探偵
専門の所在調査は、古い手がかりを"今の人"にどう結びつけるのか
自分で探して行き止まったとき、その先を、合法の範囲で手繰っていくのが、探偵の所在調査です。「探偵なら、名前だけで今の住所が出てくる」というイメージを持つ人もいますが、実際はまったく違います。手品ではありません。手の内の細かいところまではお見せできませんが、考え方の骨格はお伝えできます。
所在調査の本質は、ひとことで言えば、「当時の手がかり」と「今の情報」を、合法的な方法で一本の線につなぐ作業です。あなたが戸籍や親族からたどり着いた断片——きょうだいの名前、生年、当時の本籍地や住所、両親の情報、引き取り先の親族、別れた当時の事情——を出発点に、時間の経過で変わってしまった部分(改姓・転居・世代交代)を、法に触れない範囲の地道な情報の突き合わせと、当時を知る人からの聞き込み、現地での確認の積み重ねで、少しずつ埋めていく。点在する古い情報を、丁寧に、"今このあたりで暮らしている人"へと近づけていく。それが、行き止まりの先を進むということです。
ここで大事なのは、あなたが最初に出せる手がかりの質と量で、たどりやすさが大きく変わるということです。だからこそ、戸籍という正規の入り口を先に押さえ、親族に一言でも尋ねておくことが、そのまま可能性につながります。名前と生年と当時の場所という確かな出発点があるのとないのとでは、進み方がまるで違う。裏を返せば、あなたが棚卸しを充実させるほど、合法の範囲内で"今"にたどり着きやすくなるのです。
そして、はっきりさせておくべき境界を、もう一度。まっとうな所在調査は、あくまで合法の枠の中の積み重ねです。「どんな手を使ってでも見つけます」「戸籍でも何でも取れます」と豪語する業者ほど、危うい。合法の線を越えた調査は、後であなた自身を守らないどころか、あなたの立場を悪くします。→ 探偵に依頼すると違法になる? 依頼者のリスク / 名前だけで人探しはできるか
なお、成果は約束できません。どれだけ手を尽くしても、記録が古かったり、事情が複雑だったりして、たどりきれないこともあります。「必ず見つけます」と言い切る事務所は、むしろ注意が必要です。誠実な事務所ほど、あなたの手がかりをもとに見込みを正直に伝え、そのうえで最善を尽くします。人探しがどう進み、どのくらいの見込みがあるのかは、こちらも参考になります。→ 所在調査という選択 / 人探しの期間と、見つかる確率
時間が経つほど、道は細くなる——だから、思い立った今日が起点
きょうだい探しには、他の相談ごとにはない、切実な時間の要素があります。待てば待つほど、条件は悪くなるのです。
あなた自身の記憶が、年ごとに薄れていく。当時を知る親族が、高齢になり、あるいは亡くなっていく。相手も引っ越しや結婚を重ね、当時の生活圏から遠ざかっていく。そして、あなたも相手も、年を取る。生き別れのきょうだいは、幼い頃に別れているぶん、再会したときにはもう、人生の後半にさしかかっていることも少なくありません。「会える時間」そのものに、限りがある。
つまり、思い立った今日が、これから先で、いちばん手がかりの多い日なのです。「いつか、気持ちが固まったら」と思っているうちに、その"いつか"は、条件が悪くなる方向にしか進みません。急かすつもりはありません。ただ、きょうだい探しに関してだけは、「今さら」ではなく「今なら」だと、お伝えしておきたいのです。
見つかったあと——相手の生活と意思を、何より大切に
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。所在が分かることは、大きな一歩です。でも、きょうだい探しは「見つけて終わり」ではありません。「どう会うか」まで含めて、あなたの願いが叶うからです。ここを急ぐと、せっかくたどり着いた縁を、こじらせてしまうことがあります。
見つかった相手には、その人の意思と、これまで築いてきた暮らしがあります。あなたが「会いたい」と願うのと同じだけ、相手にも、長い年月がある。新しい家庭を持っているかもしれない。そして、生き別れのきょうだい探しには、他の人探しにはない、特別に慎重な事情があります——相手が、「自分にきょうだいがいた」という事実そのものを、知らずに育っていることがあるのです。突然その事実が持ち込まれることが、相手の家庭に、思わぬ波紋を広げてしまうこともある。このことは、頭の片隅に、必ず置いておいてください。
だからこそ、会い方には、順番があります。
いきなり、押しかけない。 相手の自宅や職場を、前触れなく訪ねるのは、たとえ善意でも、相手を驚かせ、身構えさせます。相手の家族に、相手がまだ話していない事情を知らせてしまうことにもなりかねません。
まず、ワンクッションを置く。 いきなり会おうとするのではなく、手紙や、事情を知る第三者を通じてのひとことなど、相手が心の準備をできる形で、そっと近づく。「あなたのことを、ずっと思っていました。もしよければ、お返事をいただけたら嬉しいです」——返事をするかどうかを、相手が自分の意思で選べる形が、いちばん温かい入り口になります。
相手が望まないなら、その気持ちを尊重する。 連絡が返ってこない、会いたくないと言われる。それも、一つの答えです。望まぬ接触を、くり返し強いてはいけません。あなたの願いが、相手にとっての重荷になってしまっては、本末転倒です。
現場の実感として、正直にお伝えします。所在が分かった相手に、いきなり会いに行って気まずくなってしまうより、ワンクッションを置いて、相手が自分の意思で「会おう」と思えたときのほうが、再会はずっと温かいものになります。急がないことが、いちばんの近道であることは、案外多いのです。まっとうな事務所は、本人の意思を無視して無理に引き合わせるようなことはしません。探偵の役割は「今どこにいるか」を明らかにするところまで。その先、どう橋を架けるかまで、相手の意思を尊重しながら一緒に考えられる相手を選んでください。
探す前の、心の準備——期待と、現実のあいだで
もう一つ、探し始める前に、あなた自身の心に置いておいてほしいことがあります。それは、再会は、必ずしもドラマのような場面にはならない、ということです。
長いあいだ思い描いてきた再会には、どうしても期待がふくらみます。抱き合って涙する場面を、心のどこかで待っている。それは自然なことです。けれど、現実の再会は、もっと静かで、ぎこちないことのほうが多い。何十年ぶりに会うきょうだいは、記憶の中のあの子ではなく、今を生きる一人の大人です。共有した時間が幼く短ければ短いほど、間には長い空白があります。最初は、うまく言葉が出てこないかもしれない。相手も、戸惑っているかもしれない。
だから、あらかじめ、いくつかの可能性を、心の中で受け止めておいてください。相手が再会を喜んでくれる可能性。そっとしておいてほしいと感じる可能性。会えても、思い描いていたような近しい関係にはすぐならない可能性。そして——見つからないまま終わる可能性。どれも、あなたのせいではありません。そのどれであっても、「探して、たどろうとした」というあなたの一歩は、無駄にはなりません。無事だけでも分かれば、心の一部は救われます。
期待を持つことは悪いことではありません。ただ、期待だけで突き進むと、現実とのギャップに、あなた自身が傷つくことがある。だから、願いはしっかり抱きしめたまま、結果はいくつかの形がありうると知っておく。その両方を持てたとき、あなたのきょうだい探しは、いちばん健やかなものになります。会えた先の気持ちの整理まで、一人で抱えるのがつらいと感じたら、そこも遠慮なく相談してください。
この探し方が向かない場合——別の窓口が適しています
ここまで、あなたの「会いたい」を叶える前提で書いてきました。最後に、正直にお伝えしておかなければならないことがあります。探した先で、その相手に何をするのかによっては、この記事の道すじも、まっとうな探偵も、お手伝いできない場合があります。
- 相手を責める、問い詰める、報復するための所在調査。 生き別れには、つらい感情がともなうこともあります。それは自然なことです。けれど、その感情を相手の平穏を壊す形にぶつけることは、お手伝いできません。
- 金銭を要求する、借金の肩代わりを迫る、脅すことを目的とした人探し。 これは「善意の再会」とは別のものです。
- 相手が嫌がっているのに、しつこく連絡や接触を強要する、付きまとう・待ち伏せするための調査。 これは、相手を危険にさらすだけでなく、あなた自身がつきまとい(ストーカー行為)等の責任を問われることにつながりえます。→ ストーカー・DVと法律
また、目的が「善意の再会」ではなく、相続の手続きのために、きょうだい(相続人)の所在を確定したいという場合は、まず弁護士・司法書士に相談するのが近道です。戸籍の取得や法的手続きと一体で進みます。→ 相続人の所在調査
そして、事件・事故が疑われ、行方不明になっている場合は、警察への相談が優先です。探偵と警察では、動ける範囲も目的も違います。→ 行方不明者届と探偵の違い
一見、冷たく感じられるかもしれません。けれど、きちんと断れる事務所こそ、信頼できる事務所です。誰の依頼でも目的を問わず引き受ける業者のほうが、よほど危うい。裏を返せば、あなたの願いが善意のものであるなら、こうした線引きをきちんと持っている事務所は、あなたの願いを安心して任せられる相手だ、ということでもあります。
費用は、何で決まるのか
きょうだい探しを考えるとき、多くの人が気にするのが費用です。金額そのものは事務所ごと・事案ごとに大きく異なるため、必ず各社の見積もりで確認してください。ここでお伝えするのは、"何で費用が上下するのか"という考え方です。これを知っておくと、見積もりを見たときに、その額が妥当かどうかを、自分で判断できるようになります。
費用を左右する、いちばん大きな要素は——手がかりの、量と新しさです。戸籍で名前と生年と当時の場所まで押さえられていて、引き取り先の親族の見当までつくなら、たどる筋道は短く済みます。逆に、名前しか分からない、何十年も前の断片しかない、という場合は、埋めるべき空白が大きく、そのぶん手間と時間がかかります。だからこそ、費用を抑えるいちばんの方法は、あなた自身の"棚卸し"を、できる限り充実させることです。あなたが出せる手がかりが多いほど、調査の初動が速くなり、結果的に費用が下がる。ここは、あなたにできる、最も効果的な準備です。
そして、事務所を選ぶときの最初の基準は、金額の安さではありません。探偵業の届出があるかです。営業所のある都道府県の公安委員会への届出は法律上の義務で、信頼できる事務所は届出番号を公式サイトに掲げています。番号が見当たらない事務所、合法の線を越えた「どんな手でも」を匂わせる事務所は、候補から外して差し支えありません。→ 探偵事務所の選び方
よくある質問
Q. きょうだいの下の名前と、いくつ違いだったかしか覚えていません。それでも探せますか?
名前と年齢差は、立派な出発点です。特にきょうだい探しは、あなた自身が戸籍という正規の記録をたどれる強みがあるので、そこから両親の名前や当時の本籍地を補っていけます。正直にお伝えすると、断片が少ないほど時間も費用もかかりやすい。それでも、まずは自分の戸籍をたどるところから始めれば、「名前だけ」の状態から一歩も二歩も進めます。ためらって手がかりを出し惜しむより、あるものを正直にすべて共有していただくほうが、道は近くなります。
Q. 探偵なら、きょうだいの戸籍や住民票を取れるのですか?
いいえ。他人の戸籍や住民票を、正当な理由なく取得することはできません。それを不正に取得するのは違法であり、まっとうな探偵は行いません。所在調査は、あくまで合法の範囲での、地道な情報の突き合わせと現地確認の積み重ねで進めます。「戸籍を取れる」と言う業者がいたら、危険信号だと思ってください。あなた自身が正規の手続きで取り寄せられる戸籍は、あなたの権利として進める第一歩です。→ 探偵にできること・できないこと
Q. あの子が幼い頃に養子に出されました。もう、たどれないのでしょうか?
養子縁組の種類によります。「普通養子縁組」なら実の親の記載が戸籍上に残る形が一般的で、たどれる手がかりが残っていることがあります。「特別養子縁組」の場合は記載のされ方やたどり方が異なり、実の家族の側からたどるのが難しくなることがあります。自分のケースがどちらかを思い込みで決めず、市区町村の戸籍の窓口や、戸籍にくわしい弁護士・司法書士に確認してください。難しいケースでも、親族というもう一つのルートが残っていることがあります。
Q. 見つかっても、会えるとは限らないのですか?
はい。所在が分かることと、会えることは別です。相手には相手の意思と暮らしがあり、自分にきょうだいがいた事実を知らないこともあります。無理に引き合わせることはしませんし、望まぬ接触を強いることもしません。だからこそ、見つかったあとは、いきなり押しかけず、手紙などでワンクッションを置き、相手が自分の意思で選べる形でそっと近づく——それが、いちばん温かい再会につながります。
Q. 何十年も前に別れました。もう遅すぎますか?
遅すぎることはありません。ただ、待つほど条件は悪くなります。当時を知る親族が高齢になり、あなたも相手も年を取る。確かなのは、今日が、これから先でいちばん手がかりの多い日だということです。まずは自分の戸籍をたどるところから、今日、始められます。→ 会いたい人の探し方
その願いは、誰かを困らせることではない
生き別れた兄弟姉妹を探すことは、誰かを追い詰めたり、困らせたりするためのものではありません。血を分けたきょうだいともう一度つながりたい、その存在を確かめたい——その願いを、合法な形で、確かな一歩に変えるための道すじです。
まずは、自分の戸籍をたどるところから。当時の住所や、引き取り先の親族という手がかりを、断片でも書き出すところから。戸籍で名前と昔の場所まで分かって、今の所在で行き詰まったら、そのときが専門家に相談するタイミングです。そして、たどり着いたあとは、相手の生活と意思を何より大切に。いきなり押しかけず、相手が心の準備をできる形で、そっと。
まずは、話を聞かせてください
「まだ、依頼するかどうかもわからない」——その段階で構いません。
決めてから相談するものではなく、決められないから相談していい場所です。