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家出人を警察が探してくれない・動いてくれないとき|“事件性なし”の壁を越えて、家族の無事を確かめる全手順

読了目安 約20分主任調査員(探偵実務経験者)監修公開 2026.08.03

「事件性がないと、動けません」——そう言われて、帰されたあなたへ

警察署の窓口で、あなたは勇気を出して全部話した。いなくなった日のこと、残された短い書き置きのこと、電話がつながらないこと。相談員は熱心にメモを取ってくれた。それなのに、最後にこう言われた。

「成人の方が、ご自分の意思で家を出られたようですね。事件性がないので、こちらから積極的に捜索する、というのは難しいんです」

丁寧な口調だった。冷たくされたわけでもない。でも、署を出て駐車場まで歩くあいだ、足元がすっと抜けるような感覚があったはずだ。「じゃあ、いったい誰が探してくれるんだ」と。届は受理された。番号ももらった。けれど、そのあと何日待っても、警察から連絡は来ない。テレビドラマのように捜査員が動く気配など、どこにもない。

家族が消えて、心臓が締めつけられるほど心配しているのに、頼りにしていた警察に「動けない」と言われる。この落差は、経験した人にしか分からない種類のつらさだ。あなたは今、真夜中にスマホの画面を見つめながら、この記事にたどり着いたのだと思う。

先に言っておく。あなたの相談の仕方が悪かったわけではない。心配の度合いが足りなかったわけでもない。 警察が「動けない」と言うのには、この国の仕組み上の、はっきりした理由がある。そしてその理由を正確に知ることが、実は「壁を越える」ための最初の一歩になる。

この記事は、家出人捜索の一般論ではない。「警察が動いてくれない」という、あの一点の壁を突破することだけに特化した実務ガイドだ。なぜ動かないのかを解剖し、それでも警察を動かしうる伝え方を示し、警察が動かないなら誰に何を頼めるのかまで、順番に、正直に書いていく。

まず、この記事の結論

道に迷わないよう、先に結論を置いておく。細かい理由は本文で一つずつ解く。

  1. 警察の届は、絶対に取り下げるな。 動いてもらえなくても、届は「身元判明の土台」として生き続ける。ここは動かさない。
  2. 「事件性がない」判断は、ひっくり返ることがある。 新しい事情——思い詰めた言動、持病、金銭トラブル、危険な兆候——が出たら、その都度、警察に伝え直す。扱いが「一般家出人」から「特異行方不明者」に変わると、警察の動きは大きく変わる。
  3. 命の危険が少しでも疑われるなら、この記事を読んでいる場合ではない。今すぐ110番。 自殺をほのめかしていた、認知症の高齢者、幼い子ども、命に関わる持病——一刻を争う。
  4. 事件性がなく、それでも無事を確かめたいなら、探偵の所在調査という道がある。 警察が扱わない領域を、合法の範囲で家族の手がかりから積み上げていく。ただし成果は保証できない。

ここから、一つずつ見ていく。

なぜ警察は「事件性がない」と動かないのか

まず、あなたを一番苦しめている「動いてくれない」の正体を、正確に解剖する。ここを理解しないまま感情で押しても、壁は動かない。逆に、仕組みを知れば、押しどころが見えてくる。

「行方不明者届」を出しても、自動的に捜索は始まらない

家族の行方が分からなくなったとき、最初にすべきは警察に「行方不明者届」を出すことだ。かつて「捜索願」と呼ばれていたもので、今も同じ意味で通じる。最寄りの警察署や交番で出せて、費用はかからない。

多くの人が誤解しているのは、ここから先だ。届を出せば、警察が捜査員を動かして街を探し始める——そういう仕組みには、なっていない。 届の一番の役割は、「その人がどこかで保護されたり、身元不明の状態で見つかったりしたとき、警察のデータと照合して身元が判明し、あなたに連絡が来る」こと。いわば全国に張られたセーフティネットだ。攻めの捜索ではなく、守りの網。ここを取り違えると、「届を出したのに何もしてくれない」という失望になる。

家出人は「一般」と「特異」に振り分けられている

ここが、この記事で一番大事な話だ。警察は、寄せられた行方不明者を、内部でおおまかに二つに振り分けている。

一般行方不明者(一般家出人)。 成人が自分の意思で家を出た、家庭の事情や人間関係のもつれで姿を消した——事件や事故に巻き込まれた形跡がなく、命の危険もうかがえないケース。あなたが「事件性がない」と言われたのは、ここに振り分けられたということだ。このタイプは、届は受理され、データには登録される。だが、警察が人手をかけて能動的に探しに行くことは、現実にはほとんどない。

特異行方不明者。 事件・事故に巻き込まれた可能性がある、自殺や自傷のおそれがある、認知症で命に関わる、幼い子ども、命に関わる持病がある——こうした「放っておくと生命・身体に危険が及ぶ」ケース。このタイプに位置づけられると、警察は捜索に本腰を入れる。関係先への照会や、状況によっては現場の捜索も動く。

つまり、同じ「行方不明」でも、どちらに振り分けられるかで、警察の動きは天と地ほど違う。 あなたが感じている「動いてくれない」は、大切な家族が「一般」に振り分けられた、という一点から来ている。

「事件性の壁」は、冷たさではない

ここで、腹が立つかもしれないが、一つだけ受け止めておいてほしいことがある。この振り分けは、警察が薄情だからではない。

大人には、自分の居場所を自分で決める自由がある。 事件性がない限り、公の権力が個人の所在を勝手に追い回さない——これは、あなた自身の自由も守っている原則でもある。もし警察が、家族の申告一つで誰の居場所でも探し出せてしまうなら、それは別の恐ろしさを持つ社会だ。だから「本人が自分の意思で出ていったようだ」と見えるケースには、行政は簡単には踏み込まない。

冷たいのではなく、踏み込めない線引きがある。 この構造を理解したうえで、じゃあ家族に何ができるのか——それが、ここから先の本題だ。

それでも、警察を動かしうる——「伝え方」で扱いが変わることがある

「一般家出人」に振り分けられたら終わり、ではない。この振り分けは、最初の相談時点の情報で暫定的に決まっているだけだ。新しい事情が加われば、「特異行方不明者」へ扱いが変わり、警察の動きが一変することがある。ここが、家族にできる最大の勝負どころになる。

「心配です」ではなく、「危険な兆候」を具体的に伝える

窓口で「とにかく心配なんです」と繰り返しても、残念ながら扱いは変わりにくい。心配なのは、行方不明者を届け出る全員がそうだからだ。警察の振り分けを動かすのは、「命や身体に危険が及ぶ具体的な根拠」だ。次のような事実に心当たりがあるなら、感情ではなく事実として、はっきり伝え直す。

  • 思い詰めた言動があった。「消えたい」「もう疲れた」といった発言、身辺整理をしていた様子、遺書ととれる書き置き。これは自殺念慮を疑う根拠になり、扱いが大きく変わりうる。
  • 命に関わる持病や、常用している薬がある。 薬を持たずに出た、放置すると危険な病気がある——これは「放置すれば生命に危険」の直接の材料だ。
  • 精神的に不安定な状態だった。 直前に大きなショックがあった、通院していた、といった事情。
  • 金銭トラブルや、誰かに脅されている様子があった。 事件・事故に巻き込まれた可能性を示す事情。
  • 持ち出したものが不自然。 財布も携帯も保険証も置いたまま消えた——計画的な家出なら普通は持って出るものを残しているなら、突発的・衝動的な失踪を疑う根拠になる。

大事なのは、あなたの主観(「あの子に限って何かあったに違いない」)ではなく、観察できる事実を並べること。事実が積み上がるほど、警察は「これは一般家出人ではないかもしれない」と判断を見直しやすくなる。

新しい事情が出たら、その都度、伝え直す

一度「事件性なし」と言われても、それは最終判断ではない。届を出したあとに——

  • 本人から不審な連絡(脅されているような、追い詰められたような)が来た
  • 立ち寄り先で「様子がおかしかった」という証言が出てきた
  • 銀行やカードの動きが途絶えた、あるいは不自然な引き出しがあった
  • SNSの更新がぱたりと止まった

こうした新しい材料が出たら、遠慮せず、担当の窓口に追加で伝える。 「前に事件性なしと言われたから」と黙り込まないこと。情報が更新されれば、扱いも更新されうる。あなたは、警察が持っていない情報を持っている当事者だ。その情報を届け続けることが、家族にできる正当な働きかけになる。

それでも「一般」のままなら、次の手に切り替える

ここも正直に書く。事実を尽くして伝えても、明確な危険の根拠がなければ、「一般家出人」の扱いは変わらないことが多い。成人が自分の意思で出た可能性が高いケースは、どうしても警察の優先度が上がりにくい。

そのときは、警察の届を土台として残したまま、「無事を自分たちで確かめる」ための別の道に気持ちを切り替える。警察を責め続けても、消耗するだけで前に進まない。ここから先は、あなたが動ける領域の話だ。警察と探偵の役割がそもそもどう違うのかを整理した記事もあるので、頭を切り替えるのに使ってほしい。→ 行方不明者届(警察)と探偵の人探し、どう違う?

【最優先の見分け】これは急ぐ——迷ったら110番、119番

別の道の話に進む前に、絶対に飛ばしてはいけない分岐がある。あなたのケースが「悠長に構えていい家出」なのか、「一刻を争う失踪」なのか、その見分けだ。ここを取り違えると、取り返しがつかない。

次のいずれかに当てはまるなら、この記事を読み進めるより先に、今すぐ警察(110番)へ。命に関わる急変の疑いがあるなら119番も迷わない。探偵に相談している時間が惜しいケースだ。

  • 自殺・自傷をほのめかしていた。 「死にたい」「いなくなる」といった言葉、身辺整理、遺書ととれるメモ。少しでも思い当たるなら、ためらわない。
  • 認知症の高齢者が、いなくなった。 徘徊は、時間との勝負だ。夏の暑さ、冬の寒さ、道路——放置は命に直結する。認知症の親の行方不明については、こちらも参考に。→ 認知症の親が徘徊で行方不明
  • 未成年、特に幼い子どもがいなくなった。 事件に巻き込まれるリスク、事故のリスクが高い。
  • 命に関わる持病があり、薬や治療が途切れると危険。 糖尿病、心疾患、透析——時間の猶予がない。
  • 事件・事故に巻き込まれた形跡がある。 争ったあと、不審な人物との接触、直前の脅迫。

こうした兆候があるなら、それは「特異行方不明者」に該当しうるケースで、警察が本来動く領域だ。窓口で軽く扱われそうになっても、上に挙げた具体的な危険の兆候を、事実として、粘り強く伝える。 「事件性がない」の一言で引き下がらないでいい場面が、ここにはある。

いのちの危機に関わる悩みには、公的な相談窓口もある。本人の安否そのものが心配なとき、家族であるあなた自身が追い詰められているとき、そうした窓口に頼ることも、弱さではなく正しい選択だ。

——ここから先は、「命の急な危険はうかがえない。でも、自分の意思で出たようで、警察は動かない。それでも無事を確かめたい」というケースを前提に進める。

探偵の人探しは、警察と何が違い、何を補えるのか

警察が「一般家出人」として動かない領域。ここで力になれるのが、探偵の所在調査だ。ただ、「警察より探偵のほうが強い」という話ではない。担当する領域が、そもそも違う。 その違いを正しく押さえると、探偵に何を期待していいかが見えてくる。

目的が違う——「安全を守る」警察、「所在を確かめる」探偵

警察は「安全を守る」ために動く機関だ。事件・事故・生命の危険に対して、公の権限で動く。ここは探偵には代わりができない。だから命の危険があるケースは、繰り返すが警察が最優先だ。

一方、探偵は「合法な範囲で、その人の所在や連絡先を確かめる」専門家だ。事件性がなく、警察が能動的に動かないケースでこそ、正面から力になれる。警察が引いてしまう「本人の意思で出た大人」の所在を、家族の手がかりを土台に、地道に積み上げていく。 これが最大の違いだ。

探偵は「魔法の道具」を持っていない——地道な積み上げ

はっきり言っておく。探偵は、名前を入れれば住所が出てくるような魔法の箱を持っているわけではない。手品ではなく、地道な確認の積み重ねだ。商売道具の細かいところまではお見せできないが、考え方の輪郭はこうだ。

  • 手がかりの整理。 家を出る前の様子、持ち出したもの、立ち寄りそうな場所、交友関係、過去の住まいや勤め先。依頼者が持つ情報を、ていねいに棚卸しする。ここが全ての土台になる。
  • 関係先の確認。 本人がたどりそうな先を、話を聞ける範囲で慎重に確認していく。
  • 現地での行動調査。 情報が絞れてきたら、実際にその場所を確かめ、所在を裏づける。

家出人の調査で、現場の実感として言えることがある。「まったく手がかりがない」ケースは、実は少ない。 家族には、他人には見えない心当たりが必ずある。本人のくせ、逃げ込みそうな場所、頼りそうな相手——それをどう組み立てるかが、私たちの仕事だ。どんな条件が調査の成否を分けるのかは、こちらに整理してある。→ 人探しの成功率と期間を左右する4つの条件

成果は保証できない——「必ず見つけます」は疑え

同時に、誠実に伝えておく。手を尽くしても、見つからないことはある。 手がかりの多さ、時間の経過、本人が身を隠す意思の強さで、結果は変わる。だから、無料相談の入口で「必ず見つけます」と言い切る事務所は、むしろ警戒したほうがいい。まっとうな事務所は、できることとできないことの線を、最初に正直に引く。

そもそも「所在調査」とは何ができて何ができないのか、費用はどう考えるのか——探偵に頼むかどうかを判断する前に、この土台を押さえておくといい。→ 所在調査とは?できること・できないこと・費用の考え方

探偵が「受けられない」人探しもある

もう一つ、正直に。家族を探す依頼でも、探した先で相手に何をするかによっては、探偵は引き受けられない。 探偵業法は、調査結果を他人の生活の平穏や安全を害する目的に使うことを禁じている。だから、家庭内暴力(DV)や虐待から逃げている人を追う依頼、見つけて連れ戻す・責め立てる・支配することが前提の依頼は、たとえ家族からでも受けられない。

冷たく聞こえるかもしれない。でも、きちんと断れる事務所こそ、信頼できる。 あなたの目的が「無事を確かめたい」「もう一度、静かに話したい」なら、それは探偵が正面から手伝える、まっとうな人探しだ。安心していい。

あなたが今すぐできる初動——警察を待つあいだに、手を止めない

探偵に頼むにせよ、まだ迷っているにせよ、今この瞬間からできることがある。ここでの初動が、後の調査の精度を大きく左右する。時間が経つほど、手がかりは消えていく。冷静に、しかし早く動こう。

1. 手がかりを「保全」する——消える前に固定する

家出の直後は、部屋にも、スマホにも、記録にも、手がかりが残っている。だがこれは、日が経つほど失われる。まず、証拠を消さないことを最優先にする。

  • 本人の部屋を、むやみに片づけない。 書き置き、メモ、書類、レシート——「散らかっているから」と片づけてしまうと、大事な手がかりごと消える。写真に撮って、そのまま残す。
  • 書き置き・メッセージは、原本を保存し、写真も撮る。 内容だけでなく、筆跡や書かれた紙そのものが意味を持つことがある。
  • 家計の記録を確認する。 通帳、カードの明細、電子マネーの履歴。いつ、どこで、いくら動いたか——最後の足取りが読めることがある。日付と金額をメモしておく。
  • 何を持って出たかを、書き出す。 財布、通帳、携帯、着替え、常備薬、車。計画的な家出か、衝動的な失踪かの判断材料になり、危険度の見立てにも直結する。

2. SNS・連絡アプリの「生存の痕跡」を見る

今の時代、SNSやメッセージアプリは、「本人が今も動いているか」を映す窓になる。

  • 最終ログイン、最終既読の時刻を確認する。 消息を絶ったあとに既読がついた、ログインした形跡がある——それは「少なくとも、その時点までは動いていた」という重い情報だ。
  • 投稿・ストーリーの更新を、静かに見る。 更新があるなら、生きて活動している可能性が高い。ぱたりと止まったなら、それも情報だ。
  • ただし、深追いはしない。 本人や周囲のアカウントにしつこく接触すると、警戒されて、かえって痕跡を消される。見るのは、あくまで公開されている範囲。相手の情報を不正な手段で取ろうとすれば、あなた自身が法に触れる。

3. 「立ち回り先」を書き出す——家族だけが持つ地図

これが、家族にしかできない、そして最も強い初動だ。本人が落ち着ける場所、逃げ込みそうな場所を、思いつく限り書き出す。

  • 実家、親戚の家
  • 昔の友人、元恋人、頼りにしていた相手
  • 思い出の場所、よく行っていた店やエリア
  • 過去に住んでいた土地、働いていた場所

人は、追い詰められたとき、まったく知らない土地には行きにくい。過去のどこか、心の落ち着く場所に、ふらりと向かうことが少なくない。ここで書き出したリストが、そのまま探偵に相談するときの設計図になる。→ 会いたい人の探し方

4. やってはいけないこと——「自分で全部やろう」の落とし穴

初動は大事だが、踏み込みすぎると逆効果になる線がある。

  • 関係者を問い詰めない。 「なぜ隠すんだ」と詰め寄ると、警戒されて口を閉ざされ、本人がさらに遠くへ行くこともある。
  • 無断でGPSを付けない。 他人の所有物への無断のGPS設置は、状況によっては法に触れ、そうやって得た情報はあなたを守らない。
  • 本人になりすまして情報を取ろうとしない。 探偵になりすましたり、不正な手段で個人情報を得ようとすれば、あなたが加害者になる。

無理のない範囲で自分で動き、手がかりが途切れたら専門家へ。 これが、いちばん安全で、いちばん早い。自分だけで抱え込んで壁にぶつかっている家族は、本当に多い。

探偵費用の考え方——何で決まり、どう抑えるか

「探偵に頼む」と考えたとき、誰もが最初に不安になるのが費用だ。金額そのものは事務所ごとに大きく違うので、必ず各社の見積もりで確認してほしい。ここでは、「何で費用が上下するのか」「どう抑えるのか」を伝える。

費用を左右する主な要素

  • 手がかりの多さと質。 立ち寄り先、交友関係、写真——初動で集めた手がかりが多いほど、調査は絞り込みやすく、日数が減る。ここが費用に直結する。
  • 時間の経過。 失踪から時間が経つほど、足取りは薄れ、調査は難しくなる。早く動くことが、結果的に費用を抑える。
  • 調査範囲の広さ。 立ち寄りそうな土地が近場に絞れるのか、遠方に散らばるのか。移動・宿泊費が乗るかどうかで変わる。
  • 必要な「確かめ方」の深さ。 「今どこにいそうか」の見当までなのか、実際に現地で所在を裏づけるところまでなのか。

費用を抑える三つの工夫

① 手がかりを、こちらで最大限そろえる。 前の章の初動リストを埋めておくこと。調査員が対象や場所を特定する手間が減れば、そのぶん日数が縮み、総額が下がる。準備は、そのまま節約になる。

② 早く動く。 迷っている時間が、費用を膨らませる。時間が経つほど手がかりは薄れ、調査は長引く。「もう少し様子を見てから」が、結果的に高くつくことがある。

③ 目的から逆算して、範囲を決める。 「とにかく全部」ではなく、「無事を確かめたい」のか「連絡を取れるようにしたい」のか、望みをはっきりさせる。目的に対して過不足のない範囲を設計してもらうことが、ムダを削る。費用が心配なら、削れる範囲を一緒に考えてくれる事務所を選ぶといい。

見積もりを取るときは、内訳と、追加料金が発生する条件を、書面ではっきりさせること。「一式いくら」で中身が見えない見積もりは、後で膨らみやすい。

動く前のチェックリスト

相談や依頼に進む前に、一度、これを確認してほしい。

  • 命や安全の心配は、本当にないか。 少しでもあるなら、探偵より先に警察(110番)へ。ここが最初の分かれ道だ。
  • 警察への行方不明者届は、出したか。 まだなら、土台としてまず出す。取り下げてはいけない。
  • 危険を示す新しい事情が出ていないか。 出ているなら、警察に伝え直したか。
  • 手がかりを、メモにまとめたか。 氏名・年齢・最後の状況・書き置きの有無・持ち出したもの・立ち寄り先・交友関係・最近の写真。
  • 探す目的を、言葉にできているか。 「無事を確かめたい」「静かに話したい」——相手の平穏を害さない目的か。
  • 見つかったあと、どうしたいか。 ここが、そもそも引き受けられる依頼かの判断にも関わる。
  • 相談先が、探偵業の届出をしているか。 届出番号を公式サイトで確認できるか。番号を掲げない業者は、候補から外していい。
  • 費用の内訳と追加料金の条件を、書面で説明してくれるか。 不安をあおって、その場で契約を迫ってこないか。

よくある質問

Q. 「事件性がない」と一度言われたら、もう警察は動いてくれないのですか?

そうとは限らない。最初の判断は、その時点の情報での暫定的なものだ。思い詰めた言動、持病、金銭トラブル、SNSが止まった——命や身体の危険を示す新しい事情が出たら、その都度、警察に伝え直してほしい。扱いが「一般家出人」から「特異行方不明者」に変われば、警察の動きは大きく変わる。黙って引き下がらないこと。

Q. 成人の家族は、本人の意思なら探してはいけないのですか?

探すこと自体は禁じられていない。ただ、警察が能動的に動きにくいだけだ。家族が無事を確かめたい、もう一度連絡を取りたい——その目的での所在調査は、探偵が正面から手伝える、まっとうな人探しだ。ただし、見つけたうえで連れ戻す・支配することが目的なら、話は別になる。そこは本人の意思が何より大切にされる。

Q. 届を取り下げたほうが、本人のためになりますか?

取り下げないほうがいい。届は、本人がどこかで保護されたり、身元不明で見つかったりしたときに、あなたに連絡が来る「土台」として生き続ける。取り下げれば、その糸口ごと消える。本人の自由を尊重することと、届を残しておくことは、両立する。

Q. 探偵に頼めば、必ず見つかりますか?

保証はできない。手がかりの多さ、時間の経過、本人が身を隠す意思で、結果は変わる。「必ず見つけます」と言い切る事務所は、むしろ疑ってほしい。まっとうな事務所は、できることとできないことの線を、最初に正直に引く。

Q. 自分で探し続けるのと、探偵に頼むのは、何が違いますか?

家族だからこそ持つ手がかりは、最大の武器だ。だから初動は自分でやる価値がある。ただ、手がかりが途切れた先——関係先の確認、現地での裏づけ——は、素人が踏み込むと警戒され、法にも触れかねない。自分にしかできない初動をやり切り、その先を専門家に渡す。この組み合わせが、いちばん現実的だ。

Q. 見つかったあと、無理に連れ戻してもらえますか?

それはできないし、まっとうな事務所はやらない。特に大人が自分の意思で出た場合、探偵にできるのは「今どこで、無事に暮らしているか」を確かめるところまでだ。会うか、戻るかは、本人の気持ち次第の部分が必ず残る。「無事だと分かった。それで十分だった」と、静かに見守る道を選ぶ家族も少なくない。そして、本人が保護や支援を必要としているなら、市区町村の福祉の窓口など公的機関につなぐのが正しい進め方だ。

最後に——「誰も探してくれない」の続きを、動ける手順に変える

警察の窓口で「事件性がないので動けません」と言われたあの瞬間、あなたは、世界に一人残されたような気持ちになったと思う。頼りにしていた場所に、突き放された感覚。その無力感は、痛いほど分かる。

でも、ここまで読んでくれたあなたは、もう「誰も探してくれない」の一言で立ち止まる場所にはいない。警察がなぜ動かないのかを知り、それでも扱いを動かしうる伝え方を知り、警察が引く領域を誰に頼めるのかを知った。 それは、無力感が、手順に変わったということだ。

もう一度、大切なことだけ確かめる。

  • 警察の届は、動いてもらえなくても、取り下げず土台として残す。
  • 危険を示す新しい事情が出たら、その都度、警察に伝え直す。扱いは変わりうる。
  • 命の危険が少しでも疑われるなら、迷わず110番。ここだけは絶対に飛ばさない。
  • 事件性がなく、それでも無事を確かめたいなら、探偵の所在調査という道がある。家族だけが持つ手がかりが、その力になる。
  • 手がかりは、時間とともに消える。今日、初動を止めない。

家族が消えて、眠れない夜を重ねているのだと思う。それでも、まずは「無事を確かめる」——ただこの一点に、気持ちを置いてみてほしい。連れ戻すことでも、問い詰めることでもなく、ただ、無事かどうかを知る。そこを出発点にすれば、次の一歩が、少しずつ見えてくる。

まずは、話を聞かせてください

「まだ、依頼するかどうかもわからない」——その段階で構いません。
決めてから相談するものではなく、決められないから相談していい場所です。

相談無料・秘密厳守/大阪府公安委員会 第62260032号

読んでも解決しないときは、聞いてください

急かしません。まず知ることが、いちばんの安心になります。それでも判断に迷うときは、無料で相談できます。

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