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探偵の見積もりの取り方と相見積もりの比較|「一式」で終わらせない、内訳を横並びで読む完全ガイド

読了目安 約20分実務は主任調査員監修/料金・契約の考え方は探偵業実務に基づき整理公開 2026.07.28

「調査料 一式」——その三文字を、しばらく見つめていた

メールで届いた見積書を開いて、あなたは少し戸惑ったはずです。合計金額の欄には、ちゃんと数字が入っている。けれど、その上の品目の欄には、ただ一行——「調査料 一式」

一式。たった三文字。その内側で、何人の調査員が、何時間動き、交通費はいくらで、報告書の代金は入っているのか。何ひとつ、書いていない。金額だけがぽつんとあって、その根拠は、見えない壁の向こうにある。

あなたは、その数字が高いのか安いのかすら、判断できません。もっと言えば——この金額に、ぼられている分が混ざっていないか、確かめようがない。だから、なんとなく不安で、決められない。「他の事務所にも聞いてみたほうがいいのかな」「でも、比べようにも、この一式と何を比べればいいんだろう」。そう思いながら、こうして検索している。

一度きりの依頼です。多くの人にとって、探偵に頼むのは一生に一度あるかどうか。だからこそ、二度目で取り返す、ということができない。最初の一発で、納得して選びたい。その気持ちは、まっとうです。

この記事は、費用の相場を語るものではありません。金額の“中身”を語る費用ガイドや、事務所そのものの選び方を語る選び方ガイドは、別にあります。ここで扱うのは、その一歩手前でも、一歩先でもある一点——「見積もりを、どう取り、どう読み、どう横並びで比べるか」です。「一式」の三文字を、二度と黙って受け取らないための、実務のガイド。長いので、必要なところから読んでください。

なお、具体的な金額や「相場は◯◯円」といった断言は、この記事ではしません。 金額は事務所ごと・ケースごとに大きく動きます。ここでお伝えするのは、どんな見積書を前にしても“中身を読んで、比べられる”ようになるための、道具です。

見積もりの精度は、「取り方」で九割決まる

多くの人が、見積もりを「もらうもの」だと思っています。事務所に問い合わせて、向こうが計算して、金額を出してくれる——受け身の作業だ、と。ここに、最初の誤解があります。

実際は逆です。見積もりの精度は、あなたが問い合わせの段階で渡した情報の量と質で、ほとんど決まります。 情報が曖昧なまま「浮気を調べたいんですが、いくらですか」とだけ聞けば、返ってくるのは「ケースによります」か、当てずっぽうの概算だけ。逆に、こちらが手がかりを整理して渡せば、相手は具体的な日数と体制で計算でき、根拠のある見積書が返ってきます。曖昧な質問には、曖昧な答えしか返らない。当たり前のことなんです。

問い合わせで、伝えると精度が上がること

相談や問い合わせのとき、次のことを整理して伝えてください。完璧でなくていい。分かる範囲で構いません。

  • 確かめたいこと——「会っている相手がいるか」なのか、「ホテルに入る決定的な場面まで」なのか。目的の“重さ”で、必要な日数が変わります。
  • 疑わしい日時のパターン——「帰りが遅いのは、だいたい水曜」「休日に出かけるのは、第二土曜が多い」。動きが読めるほど、狙って動けて、見積もりは締まります。
  • 対象の移動手段——車か、電車・徒歩か。車移動なら車両尾行が要り、体制が変わります。
  • 対象の勤務先・自宅の場所、行動範囲——遠方が絡むかどうかで、実費が大きく動きます。
  • おおよその予算感——言いにくければ、伝えなくても構いません。ただ、伝えると「その範囲で、どこまでできるか」を設計してもらいやすくなります。

この整理は、そのまま「調査の効率」も上げます。準備が初動を速くし、結果的に費用を抑える。何を用意しておくかは、費用ガイドの「賢く抑える」の章にも通じます。→ 浮気調査の費用ガイド

ただし、この段階では“出しすぎない”——後述します

一方で、問い合わせの段階から、あなたの個人情報や相手の詳細を洗いざらい渡す必要はありません。どこまで伝え、どこから伏せるかには、コツがあります。ここは相見積もりのマナーの章で、詳しく扱います。まずは「精度を上げるために要る情報」と「まだ渡さなくていい情報」を、切り分けて考えてください。

届いた見積書の、内訳を一つずつ読む

見積もりを取ったら、次は「読む」段階です。ここが、この記事の背骨です。「調査料 一式」で終わっている見積書と、内訳がきちんと分解された見積書——その違いを、項目ごとに見ていきます。あなたが見積書を手にしたとき、この章が、そのまま照合表になります。

基本料金(人件費)。 費用の主役です。調査員の人数 × 稼働時間で決まる、調査そのものの対価。ここが総額の大部分を占めます。見積書では「調査員◯名 × ◯時間 × 単価」や「◯時間パック」として現れるのが健全な形。ここが「一式」でまとめられているなら、まず内訳を出してもらってください。

実費(交通費・宿泊費など)。 調査員が現場を往復する交通費、遠方なら宿泊費、有料道路代など。基本料金とは別に、実費として積まれることが多い項目です。見積書で確かめるのは二点——「実費は概算いくらか」「上限はあるか」。ここが空欄だと、後から金額が動く余地が大きい。

車両費。 車両尾行を伴う場合の、調査車両の費用。ガソリン代・駐車場代が含まれることもあります。対象が車で動くなら、ここが乗る。徒歩・電車中心の相手なら、そもそも計上されないこともある。だから、あなたのケースで車両費が要るのか要らないのかを、見積書に照らして確認してください。

機材費。 遠くからでも顔がはっきり写る望遠カメラ、暗所でも撮れる機材など、証拠の質を左右する設備の費用です。基本料金に含む事務所もあれば、別項目の事務所もある。含むか別かで、総額の“見え方”が変わります。

報告書作成費。 調査は、写真を撮って終わりではありません。「何時に、どこで、誰と、どう動いたか」を時系列でまとめた報告書——これが、あとで話し合いや慰謝料請求の土台になる成果物です。この作成費が、基本料金に込みなのか、別途なのか。ここは見積書で必ず確かめたい一点。「安いと思ったら、報告書代が別で乗って結局高かった」は、よくある展開です。報告書がどう使われるかは、こちらに整理しています。→ 調査報告書の見方

諸経費。 上記に入りきらない、細かな費用の総称。ここが“ざっくり”しているほど、後で金額が動きやすい。「諸経費とは、具体的に何が含まれるのか」を聞いておくと、後で驚きません。

こうして分解すると、一つの事実が見えてきます。内訳が書き分けられている見積書は、それだけで信頼に足る。 逆に、「一式◯◯円」でまとめられ、実費や報告書費が見えない見積書は、金額の大小以前に、“読めない”という一点で危うい。金額の高い・安いを見る前に、「分解して書いてあるか」を見る。 これが、見積書を読む第一歩です。

成功報酬型の見積もりは、「“成功”の定義」を必ず確認する

見積書に「成功報酬」という文字があったら、そこで一度、立ち止まってください。「証拠が取れなければ報酬は発生しない」——文字だけ見れば、いちばん安心に見える。ですが、見積もりの比較で、ここが最大の落とし穴になります。

問題は、「何をもって“成功”とするか」が、事務所によって違うことです。あなたは「ホテルへ二人で出入りする決定的な写真が撮れて、はじめて成功」と思っている。ところが、事務所によっては「対象と相手が“接触した”記録が取れた時点で成功」と定義していることがある。すると、あなたから見れば「これでは証拠にならない」というものでも、事務所の基準では「成功」で、満額の報酬が発生してしまう。

だから、成功報酬型の見積もりを他社と比べるときは、金額の数字だけを並べても意味がありません。同じ「成功報酬◯万円」でも、その“成功”の中身が違えば、まったく別の商品です。りんごとみかんに、同じ値札が付いているようなもの。検討するなら、書面で三つを確かめてください。

  • 「成功」の定義——どういう写真・記録が取れたら成功なのか、具体的に。
  • 着手金・実費の扱い——成功しなかった場合、何が戻り、何が戻らないのか。
  • 成功時の報酬額——「成功」と判断されたとき、総額でいくらになるのか。

料金体系そのものの向き不向きは、こちらに詳しくまとめています。見積書を読む前に、体系の全体像をつかんでおくと理解が早い。→ 探偵の料金体系の選び方

相見積もりは、「同じ条件」を投げないと比べられない

さて、ここからが本題の後半——相見積もりです。一社の見積書だけを眺めていても、それが高いのか安いのか、妥当なのか、判断のしようがありません。ものさしがないからです。二〜三社から見積もりを取って、はじめて“比べる基準”ができる。

ただし、ここで多くの人がつまずきます。各社にバラバラの伝え方をしてしまい、返ってきた見積書が、そもそも比較できない代物になっているのです。A社には「浮気を調べたい」とだけ言い、B社には行動パターンまで細かく伝え、C社には予算だけ告げる——これでは、返ってくる金額が違って当然で、その差が「事務所の差」なのか「伝えた情報の差」なのか、区別がつきません。

各社に、まったく同じ前提を伝える

相見積もりの鉄則は、これに尽きます。全社に、同じ条件を、同じ言葉で伝える。 具体的には——

  • 対象のだいたいの行動パターン(例:「平日は水曜の夜が怪しい」「休日は第二土曜に外出が増える」)
  • 確かめたいこと(例:「会っている相手がいるかどうかを、まず知りたい」)
  • 対象の移動手段(例:「移動は車が中心」)
  • おおよその予算感(伝えられる範囲で)

この同じ前提を投げれば、返ってくる見積もりを横並びにできます。「A社は総額が安いが、実費が別で上限もない」「B社は少し高いが、報告書費まで込みで、追加条件も明記」——このように、同じ土俵で中身を比べられる。相見積もりは、値切るための手段ではありません。“読める見積もり”を選ぶための手段です。この「二〜三社を同じ条件で比べる」考え方は、事務所選び全体にも通じます。→ 探偵事務所の選び方

金額の数字ではなく、「その金額で何をするか」を比べる

横並びにしたら、真っ先に総額の数字に目が行きます。でも、そこを我慢してください。比べるべきは金額そのものではなく、「その金額で、何人が、何時間、どう動くのか」です。同じ二十万円でも、「二名で十時間」と「一名で二十時間」では、証拠が取れる確率がまるで違う。安いほうが割高、ということが平気で起こります。数字の裏側まで説明してくれるか——そこに、事務所の姿勢が出ます。

相見積もりのマナーと、絶対に外せない注意点

相見積もりは、あなたの権利です。まっとうな事務所は、それを嫌がりません。ただ、探偵への依頼という性質上、ふつうの買い物の相見積もりとは違う、独特の注意点があります。ここを外すと、費用の前に、あなた自身が危うくなる。

① 個人情報と“決定的な手がかり”は、契約前に渡しすぎない

見積もりの精度を上げるために、行動パターンや移動手段は伝えていい。けれど、相手の氏名フルネーム・自宅の詳細な住所・勤務先の内部情報・あなたの全個人情報を、契約前の複数社に、洗いざらい配って回る必要はありません。 見積もりの段階で必要なのは、「どんな調査を、どのくらいの規模でやるか」を見積もれるだけの情報であって、実際に調査を始めるための情報ではない。契約する一社が決まってから、詳細を渡せば足ります。

個人情報を、まだ契約していない何社にもばらまけば、それだけ情報が広がる面があります。「精度を上げる情報」と「調査を実行する情報」を切り分け、後者は契約先の一社にだけ渡す。 これが、相見積もりの基本作法です。

② 相手(対象)に、依頼がバレないよう振る舞う

これが、いちばん大切です。相見積もりのために複数社と連絡を取っていること自体は問題ありません。問題は、その過程で、あなたの行動が変わり、対象に「何か調べているな」と気取られることです。

急に見積書のメールを気にしてスマホを隠すようになる。深刻な顔で長電話が増える。相手を問い詰めるような素振りが出る——こうした変化を、対象は敏感に察します。一度警戒されれば、読めていた行動パターンごと消え、証拠が取れなくなる。

そもそも、探偵に依頼したこと自体が相手にバレるのは、依頼したからではなく、多くの場合“自分で確かめようとして動いた”からです。ここは、思い込みで損をしやすい一点なので、先に読んでおいてください。→ 探偵に依頼したら相手にバレる?

相見積もりは、あくまで静かに進める。気づいたことは気づかないふりをして、見積書のやり取りは、対象の目に触れない時間・場所で行う。ここを守れるかどうかが、後の結果を左右します。

③ 「他社と比べている」と、堂々と伝えていい

「何社にも相談するのは、申し訳ない」と感じる方がいます。その遠慮は要りません。相談・見積もりは無料の事務所がほとんどですし、比較検討は依頼する側の当然の権利です。むしろ、「他社さんとも比べています」と伝えたときの反応は、絶好の判断材料になります。誠実な事務所は、それを歓迎し、自社の見積もりの中身を丁寧に説明する。逆に、露骨に嫌な顔をしたり、他社を強くけなしたり、「今日決めてくれれば」と急かしたりする——それ自体が、避けるべきサインです。

見積書の「安さ」に潜む、罠の見抜き方

相見積もりを並べると、どうしても、いちばん安い数字に心が動きます。ここで、立ち止まってください。調査は「人 × 時間」でコストが決まる、と説明しました。ということは、相場より極端に安い見積もりには、必ず理由がある。その理由を、見積書から読み解く目を持ってください。

罠その一:入口だけ安く、追加で膨らむ設計。 広告や見積書の頭に出ている安い金額は、最低ラインであることが多い。そこに延長料金・実費・諸経費が次々と乗り、最終的に相場以上になる。見抜くには、「この金額に含まれないものは何か」を、見積書で一つずつ潰していくこと。含まれないものが多いほど、後で膨らみます。

罠その二:人数・時間を削った安さ。 本来二〜三名必要な尾行を一名に削れば、金額は下がる。でも一名では対象を追いきれず、肝心な場面で見失う。「安く済んだのに、何も撮れなかった」——これが、いちばん避けたい結末です。だから見積書では、金額とセットで「何名体制か」を必ず見る。

罠その三:「一式」で、削った事実を隠す。 内訳を「調査料一式」でまとめれば、人数を削ったことも、報告書費を省いたことも、見えなくなる。冒頭の見積書が、まさにこれです。「一式」は、安さの理由を覆い隠す包装紙にもなる。だからこそ、内訳を出させることに意味があります。

安さは、大事な判断材料の一つです。でも、「なぜ、その安さが実現できているのか」を、見積書と説明から読み解けて、はじめて意味を持つ。数字の低さだけで飛びつくと、後で高くつきます。

見積書と契約書で、必ず確認する条項

見積もりを比べて一社に絞ったら、最後に、契約前の書面確認です。見積書の段階と、契約書の段階で、それぞれ目を通すべき条項があります。ここを飛ばすと、せっかく良い見積もりを選んでも、後で崩れる。

見積書の段階で見る点:

  • 料金体系(時間制・パック・成功報酬)が、明記されているか
  • 基本料金・実費・車両費・機材費・報告書作成費・諸経費が、分解されているか
  • 追加費用が発生する条件と、その上限が書かれているか
  • 報告書費は、込みか別か
  • 成功報酬なら、“成功”の定義があるか

契約書の段階で見る点:

  • 追加料金の条件・上限・同意の取り方——延長は、依頼者の同意なしに行わない取り決めになっているか
  • 中途解約の精算方法——途中でやめる場合、動いた分と未着手分は、どう計算されるのか
  • クーリングオフの可否——契約の形態によっては対象になり得ます。その記載があるか

探偵業では、契約前に料金や解約条件などの重要事項を「書面で」説明することが義務づけられています。この説明を省く、書面を渋る事務所は、それだけで避ける基準になる。 まともな事務所は、むしろ聞かれる前に説明してくれます。契約書と重要事項説明の詳しいチェックポイントは、こちらに整理しています。→ 契約書で確認すべきこと / 重要事項説明で見るべき点

横並びで比べる——比較チェックリストの作り方

ここまでの内容を、実際に使える形に落とし込みます。相見積もりを取ったら、次の項目を縦に並べ、事務所を横に並べた比較表を、自分で一枚つくってください。頭の中だけで比べると、印象や話しやすさに引きずられます。紙かスプレッドシートに落とすと、中身がむき出しになる。

確認する項目A社B社C社
探偵業の届出番号(都道府県+番号)
料金体系(時間制/パック/成功報酬)
基本料金(何名 × 何時間で、いくら)
実費(込みか別か・上限の有無)
車両費(自分のケースで要るか・込みか別か)
機材費(込みか別か)
報告書作成費(込みか別か)
諸経費(中身が説明されているか)
追加費用の条件・上限・同意の取り方
成功報酬なら“成功”の定義
中途解約・クーリングオフの条項
総額の見通し(追加込みの最大)
対応(急かさないか・質問に丁寧か)

この表を埋めると、「一式◯◯円」の見積書は、ほとんどの欄が空白になります。空白が多いこと自体が、その事務所を選ばない理由になる。逆に、全部埋まる見積書を出せる事務所は、それだけで信頼の証です。届出番号の確かめ方は、こちらも参考に。→ 探偵業の届出番号の見方

そして、いちばん下の「対応」の欄を、軽く見ないでください。同じような金額・内訳でも、質問に面倒がらず答えるか、急かさないか——ここに、契約後の付き合いやすさが、そのまま出ます。見積書の数字は、事務所の一面でしかない。あなたが電話やメールで受けた対応のほうが、はるかに正直に、その事務所を映します。

費用が心配で、そもそも見積もりを取るのをためらうなら

「見積もりを取ったところで、どうせ払えないかもしれない」。そう思って、問い合わせ自体をためらう方もいます。ここは正直にお伝えします。支払い方法(一括か分割か、後払いが可能か)は事務所ごとに違い、一律ではありません。ただ、費用が不安なことを、恥ずかしがって黙る必要はまったくない。むしろ、率直に相談したほうが、無理のない設計を一緒に考えてもらえます。

そして、費用を抑える本質は、値切ることではなく、「調べる範囲を、必要な分だけに絞ること」にあります。目的の重さから逆算して、過不足のない日数を設計する。この考え方は、支払いが不安なときこそ効きます。→ 探偵の費用が払えないなら、まず調べる範囲を削れ

よくある質問

Q. 「調査料 一式」としか書いていない見積書でも、頼んで大丈夫ですか?

そのまま頼むのは、おすすめしません。ただ、「一式」だからといって、その事務所が悪質だと決めつける必要もない。まず、内訳を出してもらってください。 「基本料金・実費・報告書費の内訳を、分けて教えていただけますか」と。ここで、快く分解して出してくれるなら問題ありません。渋る、はぐらかす、「うちは一式でやっている」の一点張り——そのときは、候補から外して差し支えない。

Q. 相見積もりは、何社くらい取ればいいですか?

二〜三社が現実的です。一社では、比べる基準がない。かといって五社も六社も回れば、その分だけ個人情報が広がり、対応の手間も増える。二〜三社を同じ条件で比べれば、ものさしとしては十分です。

Q. 予算を先に伝えると、その額いっぱいまで請求されませんか?

まっとうな事務所なら、そうはなりません。予算を伝えるのは、「その範囲で、どこまでできるか」を設計してもらうためです。むしろ、予算を言わずに曖昧なまま進めるほうが、後で「思ったより高い」となりやすい。ただ、どうしても不安なら、予算は伏せて「内訳の分かる見積もりをください」とだけ伝えても構いません。

Q. 各社に、相手(対象)の名前や住所まで、全部伝えるべきですか?

契約前の見積もりの段階では、そこまで要りません。見積もりに必要なのは、「どんな規模の調査になるか」を計算できるだけの情報——行動パターン、移動手段、確かめたいこと、おおよその場所です。氏名フルネームや詳細な住所は、契約する一社が決まってから渡せば足ります。個人情報を、契約前の複数社にばらまかない。 これは、あなた自身を守る作法です。

Q. 相見積もりを取っていることは、事務所に言っていいですか?

言って構いません。むしろ、伝えたときの反応が判断材料になります。誠実な事務所は歓迎し、自社の見積もりの中身を説明します。露骨に嫌がる、他社をけなす、その場での即決を迫る——そういう反応が出たら、それ自体が「選ばない理由」です。

Q. 見積もりを取ると、しつこく営業されませんか?

事務所によります。ただ、見積もり後にしつこく電話やメールで契約を迫る、不安をあおって急かす——そうした事務所は、その営業姿勢そのものが、避ける基準になります。まっとうな事務所は、あなたが納得して決められるよう、材料を渡して、待ちます。

Q. 一番安い見積もりを選べば、間違いないですか?

金額だけで選ぶのは、いちばん危うい。安さの裏で、人数や時間が削られていたり、報告書費や実費が別で乗ったりしていれば、「安く頼んだのに、何も残らなかった」「結局、追加で相場以上になった」となりかねません。比べるのは総額の数字ではなく、「その金額で、何をしてくれるか」の中身です。

「一式」を、二度と黙って受け取らないために

見積もりの取り方と、相見積もりの比べ方について、お伝えしてきたことを整理します。

  • 見積もりの精度は、問い合わせで渡す情報の質でほとんど決まる。目的・行動パターン・移動手段を、整理して伝える
  • 届いた見積書は、基本料金・実費・車両費・機材費・報告書作成費・諸経費が分解されているかを見る。「一式」なら内訳を出させる
  • 成功報酬型は、金額でなく“成功”の定義を比べる
  • 相見積もりは、全社に同じ条件を伝えて、はじめて横並びで比べられる
  • 個人情報は契約前の複数社にばらまかない。対象に依頼が気取られないよう、静かに進める
  • 安さは、「なぜその安さか」を読み解けてはじめて意味を持つ
  • 見積書と契約書の条項を確認し、比較表に落として、中身をむき出しにする

「一式」の三文字が不安だったのは、あなたが臆病だからではありません。見えないものを、見えないまま受け取るのは、誰だって怖い。だからこそ、内訳を出させ、横並びで比べる。それだけで、その不安は「納得」に変わります。

私たちは、見積もりを「一式」で包んで渡すことをしません。何人が、何時間動き、実費はいくらで、報告書費は込みなのか——最初から、分解してお見せします。あなたを契約に急かす側ではなく、あなたが複数社を比べて、納得して選べるように、中身を正直に開く側に立ちたい。だから、「まだ他社と比べている」「金額だけ知りたい」——その段階でも、遠慮なく声をかけてください。見積もりの内訳を読み解くところから、一緒に始められます。

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