横領した社員の財産・所在調査|先に問い詰めると、財産は隠される—損害回収の順番
「使い込まれたお金を、どうやって取り戻せばいいのか」
帳簿を締めてみて、はじめて全体像が見えた。
信頼して経理や現場を任せていた社員が、会社の金を使い込んでいた。
問い詰める前に辞表を出して姿を消したのか、あるいは発覚を悟って連絡が取れなくなったのか——気づけば、相手はもう手の届かないところにいる。
被害額の大きさもさることながら、経営者としてこたえるのは、「任せた相手に裏切られた」という事実と、「このまま泣き寝入りするしかないのか」という無力感かもしれません。
「今どこにいるのかもわからない」
「そもそも、返せるだけの財産が残っているのか」
「会社の金なのに、取り戻す手立てがないのか」
夜、こうして調べているあなたの気持ちは、まっとうなものです。正当に会社が被った損害を、正当に取り戻したい——それは、経営者として当然の願いです。
ただ、ここで一つだけ、先にお伝えしておきたいことがあります。正当な権利であっても、取り戻し方を誤ると、今度は会社やあなた自身のほうが責任を問われる立場になる——世の中は、そういう仕組みになっています。
この記事では、横領した社員が退職・失踪したあと、どう動けば「正しく」損害回収に進めるのかを、順番に、正直に整理します。
- まず何をすべきか(先に結論)
- なぜ、回収の前に「所在」と「財産」を押さえる必要があるのか
- 自分で探すことの、難しさと危うさ
- 探偵の財産調査・所在調査で、できること/できないこと
- 相手と財産が見つかったあと、どう回収へ進めるのか
- やってはいけない「取り立て」「私的制裁」——ここが命綱です
- 相談前に、用意しておくとよい資料
派手な話はありません。横領された損害の回収は、感情ではなく順番の問題です。落ち着いて読み進めてください。
この記事を読むとよい人/読まなくてよい人
先に、この記事が誰に向けたものかをはっきりさせておきます。
読むとよい人
- 社員による横領・着服が発覚し、その社員が退職・失踪してしまった経営者
- 損害を「正当に」「回収できる形で」取り戻したいと考えている方
- 相手の今の居場所や、回収に充てられる財産があるのかを知りたい方
- どこまでが自分でできて、どこからが専門家の領域なのかを整理したい方
読まなくてよい人
- 相手を懲らしめたい、痛い目に遭わせたい、という気持ちが主目的の方
- 相手の家族や周囲を巻き込んで、圧力をかける方法を探している方
はっきり申し上げます。この記事は、損害を「回収」するための、合法的で現実的な順番をお伝えするものです。相手への報復や私的な制裁を助けるものではありませんし、後ほど詳しくお伝えするとおり、そうした行為は、正当な権利を持つあなたを一瞬で「加害者」に変えてしまいます。ここを目的にしている方には、この記事はお役に立てません。
先に結論:まず「所在と財産を合法に確認」→「弁護士の債権回収手続き」で取り戻す
先に、この記事の結論をお伝えします。
横領した社員から損害を回収するときの、正しい進め方は——
①まず、相手が今どこにいるのか、そして回収に充てられる財産があるのかを、合法的な範囲で確認する。②そのうえで、弁護士による正規の債権回収手続き(損害賠償請求や刑事告訴など)で取り戻しに進む。 この二段構えです。
大切なポイントは3つです。
- 回収の前に、「所在」と「財産」を押さえる。 相手の住所がわからなければ、そもそも訴訟や支払督促といった正規の手続きを始められません。加えて、いくら勝訴しても、相手に回収できる財産がなければ、判決は「紙」で終わってしまいます。だから、居場所の特定と、財産の有無の確認が、回収の現実性を左右します。
- 回収そのものは、弁護士と法律の手続きで進める。 お金を請求し、支払わせるのは、裁判所や弁護士の領域です。探偵が担うのは「相手が今どこにいるか」「回収の手がかりになる財産や勤務先があるか」を、合法的な範囲で明らかにするところまでです。
- 自力の取り立て・私的制裁は、絶対にやってはいけない。 相手の家や実家に押しかける、勤務先に「横領犯だ」と触れて回る、SNSで晒す——こうした行為は、会社が被害者であったはずなのに、逆に名誉毀損・強要・脅迫などの罪に問われる原因になります。
「使い込まれたのだから、こちらが何をしても許されるはずだ」。その気持ちは自然です。けれど、そこをぐっとこらえて、静かに事実と回収の道筋を固める。これが、後戻りしないための最初の一歩です。
ここから、ひとつずつ見ていきます。
1. なぜ「所在」と「財産」を先に押さえる必要があるのか
「横領された金を取り戻す」と聞くと、いきなり請求や取り立てを思い浮かべるかもしれません。でも、実際の順番は逆です。
回収の手続きは、たいてい「相手がどこにいるか」がわからないと始められず、そして「相手に財産があるか」がわからないと、実らないのです。
これは、多くの経営者が見落とす、いちばん大事なポイントです。
正規の手続きには「相手の住所」が要る
会社が被った損害を正当に取り戻す方法には、たとえば次のようなものがあります。いずれも、法律で用意された、まっとうな手段です。
- 内容証明郵便で、正式に損害の賠償を求める
- 支払督促という、簡易裁判所を通じた手続きを使う
- 民事訴訟(損害賠償請求)を起こす
- 横領の内容によっては、刑事告訴を検討する
これらに共通しているのは、「相手に書類を届ける必要がある」ということです。内容証明は相手の住所に送りますし、裁判所からの通知も、相手の住所へ届きます。
つまり、相手の現在の住所がわからなければ、そもそもスタートラインに立てないのです。「姿を消された」というのは、単に連絡が取れないだけでなく、回収の手続きそのものを止められている状態でもあるわけです。
「勝っても取れない」を避けるために、財産を見る
もう一つ、経営者にこそ知っておいてほしい、シビアな現実があります。
裁判で勝っても、相手に差し押さえられる財産がなければ、実際にはお金は戻ってきません。
損害賠償を認める判決が出ても、それは「支払え」という命令にすぎません。相手が任意に払わなければ、最終的には、相手の給料や預金、不動産といった財産を差し押さえる(強制執行)ことになります。ところが、その差し押さえる対象——つまり回収の原資になる財産が、どこにあるのかは、こちらが把握していなければ手のつけようがありません。
だからこそ、回収を本気で考えるなら、「相手が今どこにいるか(所在)」と「回収に充てられる財産の手がかりがあるか(勤務先・事業・資産の状況)」を、あらかじめ合法的な範囲で把握しておくことが、遠回りのようでいて、いちばんの近道になります。何の下調べもなく手続きだけ進めて、勝訴したのに一円も戻らなかった——という事態を避けるための、地ならしです。
時間が経つほど不利になることもある
貸金や損害賠償を請求する権利にも、時効という考え方があります。「いつまでも請求できる」わけではありません。時効の年数や、いつから数えるか、途中で止める方法があるかは、横領の態様や発覚の経緯によって変わり、専門的な判断が必要な部分です。
ここで細かい年数に立ち入ることはしませんが、「放っておくほど、権利を主張しにくくなる場合がある」ということだけは、頭の片隅に置いておいてください。「そのうち向こうから連絡が来るかも」と待ち続けるより、早めに動き出すほうが、一般的には有利に働きます。
2. 自分で探すことの、難しさと危うさ
「専門家に頼む前に、まず自分で探してみたい」——経営者として、費用を惜しむ気持ちも含めて、自然なことです。実際、自分で確認できることもあります。
- 退職時に提出された住所・緊急連絡先を、もう一度見直す
- 給与振込に使っていた口座、社会保険の記録など、社内に残る情報を整理する
- 共通の取引先や、当時の同僚に、それとなく近況を尋ねる
ここまでは、無理のない範囲です。会社の中に、意外と手がかりが残っていることもあります。
ただし、相手が「意図的に逃げている」場合、自分で探すことには、はっきりとした限界と、そして危うさがあります。
手がかりが、途中で途切れる
横領を隠して姿を消す相手は、たいてい連絡先を変え、住所を移し、意図的に足取りを消します。SNSも消すか、鍵をかけます。退職時の住所は、すでに引っ越したあとの空き家、ということも珍しくありません。
多くの経営者が、「社内の記録は当たった、知人にも聞いた、でもそこから先がわからない」という壁にぶつかります。相手が本気で隠れているほど、素人の追跡は、途中で行き止まりになります。まして、相手の現在の資産状況となると、外から素人が確認する術は、ほとんどありません。
深追いすると、あなたが「加害者」になりかねない
ここが、いちばん気をつけてほしいところです。
「使い込んだ本人なのだから、何をしても構わないはずだ」という気持ちが強くなると、つい、やりすぎてしまいます。そして、相手を追い詰めようとした行為が、会社やあなた自身を法律に触れさせる——これが、いちばん怖い落とし穴です。
- 相手の実家や親族に、しつこく居場所を聞いて回る
- 相手のものと思われる車やカバンに、無断でGPSを取り付ける
- 相手の再就職先に「あの人は横領犯だ」と伝えて回る
- SNSで、実名や顔写真を出して「会社の金を盗んだ犯罪者」と書き込む
こうした行為は、正当な損害賠償請求権を持っている会社であっても、つきまとい(ストーカー規制法)、名誉毀損、信用毀損、強要、脅迫といった別の問題に発展しかねません。2021年のストーカー規制法の改正で、承諾のないGPSでの位置情報の取得や機器の取り付けも規制の対象になっており、「相手が悪いんだから何をしてもいい」は、法律の世界では通用しません。
会社が被った損害は正当。でも、取り戻し方を誤れば、立場が逆転する。 この一点だけは、どうか忘れないでください。だからこそ、「合法的な範囲で、確実に所在と財産の手がかりをつかむ」という一点において、専門家に任せる意味があるのです。
3. 探偵の「財産調査・所在調査」で、できること/できないこと
では、探偵に頼むと、何ができるのか。輪郭を、実務の視点でお伝えします。ここは、期待と誤解の両方が生まれやすいところなので、できることとできないことを、正直に線引きします。
所在調査でできること
探偵の所在調査は、ドラマのように「名前を入れたら住所が出てくる」ものではありません。合法的に集められる情報を、地道に積み上げていく仕事です。
- 手がかりの整理:会社が持っている情報(元社員の氏名、退職時の住所、緊急連絡先、給与口座、当時の同僚や取引先、勤務中のやり取りなど)を、ていねいに整理します。ここが出発点であり、最も大切な土台になります。
- 合法的に確認できる情報の突き合わせ:法律の範囲で確認できる情報を、一つずつ照らし合わせていきます。
- 聞き込み・現地確認:情報が絞れてきたら、関係しそうな場所を確かめ、必要に応じて現在の所在を裏付けます。
財産・稼働状況の調査でできること
損害回収を見据えた場合、所在とあわせて重要になるのが、「回収の原資になりそうな手がかり」の確認です。ここも、あくまで合法的に確認できる範囲に限られます。
- 就業状況の確認:相手が今どこかで働いているか、事業を営んでいるか、といった稼働の実態。給料や事業収入は、後の手続きで回収の対象になり得るため、大きな意味を持ちます。
- 生活実態の確認:どのあたりで、どのような暮らしをしているか、という生活の状況。
これらは、弁護士が債権回収の戦略を立てるうえでの、貴重な材料になります。
できないこと——ここを誤解しない
一方で、探偵にもできないこと、やってはいけないことがあります。ここを正直にお伝えするのが、信頼できる調査者だと考えています。
- 銀行口座の残高を、勝手に調べることはできません。他人の預金情報を無断で入手する行為は違法です。
- 無断でのGPS取り付け、他人のアカウントへの不正アクセス、盗聴——こうした違法な手段は使いませんし、それらで得た情報は、結局、証拠として使えません。
- 成果を保証することはできません。どれだけ手を尽くしても、所在がつかめないことも、めぼしい財産が見当たらないこともあります。「必ず見つけます」「必ず回収できます」と言い切る事務所は、むしろ注意が必要です。
現場の実感として、一つ申し上げておきます。横領の相談で来られる経営者は、「もう手がかりがない」とおっしゃることが多いのですが、社内には退職書類、給与振込の記録、業務メール、当時の関係者など、ご本人が「手がかりだと思っていなかったもの」が残っていることが、実はよくあります。だから、まずは持っているものを、正直に、もれなく出していただくことが、何より大切なのです。
そして、探偵ができるのは、「相手が今どこにいるか」「回収の手がかりになる状況はどうか」を明らかにするところまで。そこから先、実際に損害を請求し、支払わせる手続きは、弁護士や裁判所の領域です(これは法律で決まっています)。探偵の調査は、回収そのものではなく、回収を「始められる状態」にするための地ならし、という位置づけになります。
4. 相手と財産が見つかったあと——正しい回収の進め方
無事に相手の所在と、回収の手がかりがつかめたら、いよいよ回収です。ここからは、法律で用意された、正規のルートを通します。細かい判断は専門家(弁護士)の領域ですが、全体像として、一般的にはこんな流れになります。
ステップ①:弁護士に相談し、方針を決める
横領の損害回収は、民事(損害賠償)で進めるのか、刑事(告訴)も視野に入れるのか、その両にらみでいくのか——最初の方針決めが、その後を大きく左右します。ここは、まず弁護士に相談するのが確実です。証拠のそろい具合、被害額、相手の資力の見込みによって、取るべき道が変わってきます。
ステップ②:内容証明で、正式に請求する
いきなり裁判、というわけではありません。まずは、内容証明郵便で「いつまでに、いくらを返してほしい」と正式に求めるのが、一般的な第一歩です。「正式に請求した」という記録が残り、相手が任意に応じれば、裁判までいかずに解決することもあります。
ステップ③:損害賠償請求・刑事告訴を検討する
相手が応じない場合、民事訴訟や支払督促といった手続きに進みます。横領の態様によっては、業務上横領などの刑事事件として告訴を検討する道もあります。どの罪にあたりうるか、告訴が受理されるためにどんな証拠が要るか、勝訴後にどう財産を差し押さえるかは、専門的な判断が必要です。ここは必ず弁護士と連携して進めます。
いずれの手続きも、先ほどお伝えしたとおり、相手の住所がわかっていること、そして回収できる財産の見込みがあることが、現実的な前提になります。だから、所在調査と財産の手がかりが生きてくるわけです。
信頼できる探偵事務所は、必要に応じて弁護士と連携できる体制を持っています。「所在は特定できたけれど、そのあとどうすればいいかわからない」という状態で、経営者を放り出さない。所在と手がかりというバトンを、法律の専門家へきちんと渡す。ここまでを見据えて動くのが、誠実な進め方です。
5. やってはいけない「取り立て」「私的制裁」——ここが命綱です
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。正当な権利を持っているあなたを守るために、あえて、強くお伝えします。
会社が被った損害が正当でも、「取り戻し方」には、法律による決まりがあります。 これを踏み外すと、あなたや会社が罪に問われます。
具体的には、次のような行為は、絶対にやってはいけません。
- 相手の家・実家・再就職先に押しかけ、大声を出す・居座る
→ 威迫や、業務・生活の平穏を害する行為として、問題になり得ます。 - 深夜や早朝に、繰り返し電話やメッセージを送りつける
→ しつこい連絡は、つきまといや脅迫と評価されるおそれがあります。 - 「返さないと、どうなるかわかっているな」といった脅し文句を使う
→ 強要罪・脅迫罪に問われるおそれがあります。 - 相手の再就職先や取引先に「あいつは横領犯だ」と触れて回る
→ 名誉毀損・信用毀損にあたるおそれがあります。事実であっても、公然と人の社会的評価を下げれば、罪に問われることがあります。 - SNSや貼り紙で、実名・顔写真を出して「会社の金を盗んだ」と晒す
→ 同じく名誉毀損にあたるおそれがあります。 - 勝手に相手の家に入る・私物を持ち出す・「使い込んだ分」を実力で回収する
→ 住居侵入や、別の犯罪にあたります。「盗まれた分を取り返しただけ」も認められません。
大事なのは、正当な権利の「実現」は、必ず法律の手続きを通して行う、ということです。自分の手で直接取り立てる「実力行使」や、相手への私的な制裁は、たとえ相手が横領犯であっても、認められていません。
現場で、正直に感じることがあります。裏切られた悔しさが強い経営者ほど、「合法とか関係ない、社会的に責任を取らせてやりたい」という気持ちになりがちです。その気持ちは、痛いほどわかります。けれど、そこで一歩踏み外すと、損害を取り戻すどころか、会社が加害者として責められ、他の従業員や取引先の信用まで失う——そういう逆転を、私たちは何度も見てきました。
だから、所在と財産の確認は合法に。回収は弁護士と正規の手続きで。取り立て・制裁は絶対に自力でやらない。 この順番を守ることが、結局はいちばんの近道であり、あなたと会社を守る命綱になります。
6. 相談前に、用意しておくとよい資料(チェックリスト)
調査は、依頼者が持っている手がかりの質で、進みやすさが大きく変わります。横領のケースは、幸いなことに、雇用の過程で残っている記録が、そのまま手がかりになります。相談の前に、次のようなものを、探せる範囲でまとめておくと、話がとてもスムーズです。
- 元社員の氏名(旧姓・通称・読み方も。結婚などで変わっている可能性も含めて)
- 退職時の住所・緊急連絡先(古くても、家族の連絡先でも構いません)
- 履歴書・雇用契約書・身元保証書(身元保証人がいる場合、回収の道が広がることもあります)
- 給与振込に使っていた口座の情報
- 横領を裏づける社内資料(帳簿・伝票・経費精算・メールなど、被害の内容と金額がわかるもの)
- 本人が関わっていた取引先・当時の同僚(近況の手がかりになることがあります)
- 本人の写真(社員証・行事の写真など、人物像がわかるもの)
- 退職・失踪した時期と、そのときの状況
- すでに把握している再就職先や、事業を始めた等の情報(あれば)
これらは、「相手を探すための手がかり」であると同時に、あとで損害賠償や告訴に進むときの「証拠」にもなります。特に横領の事実を裏づける社内資料は、弁護士に相談する段階でも重要になるので、原本を含めて大切に保管し、社内で紛失・改変されないよう管理しておいてください。
すべてがそろっていなくても、まったく問題ありません。「これしかわからない」という状態でも、相談の中で一緒に整理していけます。大切なのは、あるものを、正直に、もれなく共有していただくことです。手がかりを出し惜しむと、その分、調査が遠回りになってしまいます。
まとめ:正しい順番で動けば、泣き寝入りしなくていい
横領した社員に姿を消されたとき、経営者にとっていちばんつらいのは、「任せた相手に裏切られた」という思いと、「もう取り戻せないのかもしれない」という無力感かもしれません。
でも、思い出してください。会社が正当に被った損害を、正当に取り戻す道は、ちゃんと用意されています。 ただし、その道には、正しい順番があります。
- まず、相手が今どこにいるか、回収に充てられる財産の手がかりがあるかを、合法的な範囲で確認する(ここで探偵の所在調査・財産調査が生きる)
- 確認できたら、内容証明・損害賠償請求・刑事告訴など、弁護士と連携して正規の手続きで請求する(探偵は所在と手がかりの確認まで)
- 銀行口座の無断照会や成果保証といった、できないこと・やってはいけないことを正しく理解する
- そして——自力の取り立てや、SNSでの晒し、私的な制裁は、絶対にやらない(正しい側だったはずの会社が、加害者になってしまう)
裏切られた悔しさや怒りは、当然のものです。けれど、その感情のまま突っ走ると、かえって遠回りになり、最悪の場合、立場が逆転します。だからこそ、冷静に、正しい順番で動くことが、結局はいちばん確実で、いちばん強いのです。
「もう泣き寝入りするしかない」と思って、ここまで読んでくださったのかもしれません。でも、まだ打つ手はあります。まずは、社内に残っている手がかりを整理するところから、始めてみてください。相談は、依頼を決めてからするものではなく、決めるために使っていただくものです。この記事が、その最初の一歩の助けになればと思います。
まずは、話を聞かせてください
「まだ、依頼するかどうかもわからない」——その段階で構いません。
決めてから相談するものではなく、決められないから相談していい場所です。